断甘亭日常 やっかいな病気・糖尿病とつき合う

退院後1カ月

文/小池一三
2010年09月02日 木曜日
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どうであれ、退院はうれしいものです。病院生活と普段の生活の違いは何かといえば、後者には自由があることです。
マキシム・ゴーリキーの『どん底』に登場するブブノフ(元帽子屋)が、巡礼のルカに「どうしてここに住むのさ」と詰問されて、「ここには自由があるからさ」といい放つ場面があります。
『どん底』は、ツアーリ・ロシアの圧政に呻吟する都市のあぶれ者が住む宿所を描いた作品ですが、現代のサラリーマンが『フーテンの寅さん』や「箱男」(段ボール生活者)に寄せる憧憬に、どこか似ているのかも知れません。
民話の「三年寝太郎」も、その文脈のものです。年柄年中、土地に縛られ草むしりを欠かさない勤勉な農民が、呆けて自由に暮らす「寝太郎」を創作したのは、やはり自由への憧れでした。
わたしは、この入院生活で酷い目に遭ったわけではありませんが、そうはいっても監視下に置かれるのは苦痛なことで、退院して、やはりシャバはいい、と思ったのでした。
悪いことをした政治家がよく病院に逃げ込みますが、この場合は、社会に晒される方が苦痛なのです。したがって、この関係はあくまで相対的なものでありますが……。
しかし、退院して感じたのはもう一つあって、今日から自分が「主治医」にならないと病気は悪化する、という現実でした。自分で判断できる、という点では自由だけれど、病気から「解放」されたのではありません。この病気は、ずっと現実に縛られる病気です。
食事は、とりあえず間食をしない、脂の多い食材、調理法は避ける、毎日、ウォーキングを欠かさない、医師が指定した薬を、指定された時間に飲む、それらを自分に課しました。
そこでまず、ウォーキングの話をしましょう。

ウォーキングの話

梅雨に入る前の六月の日々、朝夕は涼しく、散歩するに格好の季節です。
朝、昼、夜と、時間を見つけると歩きました。一日平均12,000歩、理想の歩数です。毎日、自分の身体が変わって行くような、そんな感覚を身体の隅々に感じることができました。
のんびり散歩している人がいると、その横を風のように追い越しました。背筋をピンと伸ばし、胸は反らせ気味、お腹を引き締め、腕はひじを軽く曲げ、心臓の高さに近い位置に保ちながらリズムよく、コンパクトに振ります。真っ直ぐ前を向き、着地はかかとから……。
何とまあ心地よいことか。快〜感〜。

「足は第2の心臓」といわれ心臓と足は密接に関係しています。血液がうまく全身をめぐっているのは、足が心臓へと血液を送り返すポンプのような働きをしているからだといわれています。しかし、何もしないと足はポンプの役割は果たしてくれません。適度な刺激を与えることによって血液を心臓に送り返すことができるわけで、適度な刺激という点ではウォーキングが一番です。
ウォーキングは、1日1万歩と言われます。平均的な成人が1日に食物から摂取しているカロリーは約2100kcalに相当します。日常生活の消費カロリーは約1800kcalなので、その差約300kcalをウォーキングなどして消費しないと、摂取カロリーが蓄積されてしまいます。体重60kgの人が1万歩を歩いて消費するカロリーが約300kcalなので、1日1万歩と言われるのです。
わたしは、ウォーキングによるカロリー消費を計算してくれる万歩計を持っているので、それでみると、大体、そんなものです。しかし、それだけ歩いてたった300kcalなのか、というのはウォーキングするようになって知ったことで、これはショックでした。

道具立て1.靴の話
ウォーキングするには、いい靴を選ぶべしと本に書かれています。ランニングシューズやジョギングシューズと、ウォーキング用のシューズはどこが違うのか知りませんでしたが、走り用のシューズは軽さがもとめられるため、踵が少し薄めに作られています。それを履いてウォーキングすると、足への衝撃が強くて、負担が重くなります。ウォーキングには、歩行時の足への衝撃を和らげ、力が分散されるシューズがいいのです。

  • まず、足のサイズを正しく測る。
  • 午後3時にお店に出掛けて、靴を実際に履くのがベストタイムだそうです。
  • つま先に余裕があるか、カカトや土踏まずの部分がしっかりしているかをチェック。
  • つま先を地面につけて、足底部が簡単に曲がるかをチェック。
  • 靴底の素材が、衝撃を吸収するクッション性の高いものを選ぶ。
  • 発汗時の吸収性や吸湿性がいいかどうかもチェックする。

正しい足の運びは親指でしっかり踏み込むことが大切ですが、つま先が固かったりつま先の幅が狭くなっていたりするデザイン優先の靴では、この動きを妨げてしまいます。5本の指が重ならず、しっかり広げて踏み込めるような歩きやすい靴を選びましょう。
正しい足の運び方が身についてくると、エクササイズウォーキングや長距離ウォーキングでも疲れにくく、さらに運動効果もより高くなります。足裏の重心が「かかと→足の外側→小指の付け根→親指の付け根→親指」と移動していく感覚をつかむため、最初はゆっくりとしたウォーキングから習得していってください。
地面に足裏全体をピッタリつけた状態で、靴ひもを軽く結びます。
結び目がゆるまないように靴ひもを引っ張りながら、「トントン」と2〜3回かかとをつき、さらに靴ひもを引っ張り、足首をしっかり固定させます。
前かがみになった状態で爪先を曲げながら靴ひもをしっかり結びます。靴が足の曲がりや足首の動きを理想的にサポートしてくれる靴の履き方です。

道具立て2.「インソール(中敷き)」
インソールは用いると、からだのバランスが整い歩きやすくなり、正しい姿勢で歩けます。足の疲れや膝痛、腰痛、外反母趾など足腰のトラブルを防ぎ、足への圧力、衝撃を吸収し負担を和らげてくれます。
インソールを選ぶポイントは、 土踏まずをサポートし、かかとが安定するかどうかが大切です。 ウォーキングの基本は、かかとの力が足の動きと共に前方へと移動し、次の一歩を蹴り出す力であり、その重心移動の繰り返しです。それをインソールを用いてサポートすることで、歩く力の伝達がよりスムーズになります。
快適なウォーキングのために、靴と共にインソールも自分の足に合ったものを揃えたいと思います。

道具立て3.万歩計
最近の万歩計は歩数を測るだけでなく、様々な機能がついています。

  • 正確な歩数を測るものであること(二つの万歩計で調べたら、結構違った)
  • 表示画面の大きいタイプ(夜に歩く人は、小さな明りで見えるのがいい)
  • 機能が最低限のタイプ(必要十分で、困ることはない)
  • 糖尿病患者は消費カロリーを計算できるタイプがいいけれど、歩いても歩いても、消費カロリーはそれほど増えるわけでないことを知っておくべき。
  • 消費カロリーの目標が設定でき、達成度が表示されるタイプ
  • 歩数から歩行距離が計算できるタイプ
  • 脈拍が計れるタイプ
  • ストップウォッチ機能が付いているタイプ
  • その日の歩数がデータとして記録されるタイプ
  • 歩数の累計や平均が計算できるタイプ
  • 歩いた距離を地図に置き換えて、いろいろな国の都市をめぐることができるタイプ

自分の好みに合せて選べばいいと思います。

歩き方研究1.基本は足裏ローリング
ウォーキングは一歩一歩足を前に出さないと進みません。まず、つま先で着地するか、かかとから着地するかが問題で、着地はかかと。そのあとは地面に体重が乗り、そして前に進むには、そこから重心移動して、親指で地面を蹴り上げて次の一歩を踏み出します。その間を「足裏ローリング」といいます。
当たり前の話ですが、前足に体重を乗せ一歩踏み出し、かかとから着地し、足裏全体で地面を心地よく感じることが大切で、着地と同時に前足の体重をのせ、後ろ足は足裏の外側に力を入れるようにして、からだを前に押し出しながら地面を踏み、足裏は地面を滑る感じで次の一歩へと踏み出します。
プロは、足裏全体を地面にペタっと付けないで、重心が足裏の中央からやや外側、足の小指の付け根に移動するよう意識し、そこからかかとまでのラインの感覚が大事だといいますが・・・。
この感覚を身につけるためにゆっくりとした歩行にし、足裏の重心移動を意識しながら歩きましたが、「小指からカカトまでのラインの感覚」とまでは行きませんでした。

歩き方研究2.ナンバ歩き
“ナンバ歩き”といっても、女の子を引っかけて歩くということではありません。
明治以前の着物を着用していた頃の日本の男の歩き方をいいます。着物を着用していた頃の日本では、ごく普通の歩き方で、腕を振らず、からだも捻らずに全体的に静かな動作で歩くのが特徴です。ナンバ歩きの身のこなしは、歩行だけでなく、走ったり、作業をしたりなど、どんな場面でも着物が着崩れないための動作の基本とされました。重力に逆らわず、無駄な動きが少ない歩き方で、古武道にも通ずるといわれます。
ナンバ歩きは、両手は大きく振らず、体の両脇に自然にだらりと垂らした状態で、リラックスした姿勢で、後ろから腰を押されて足が前に出るような感じで進みます。腕はほとんど振らず、自然にダラッと下げる走り方ということでは、中国のマラソン選手でそんな走り方をする選手がいました。
水の入ったグラスなどをお盆にのせ、両手を上に向ける形でお盆を持ったまま、水がこぼれないように静かに歩くと、この歩き方の感覚をつかめるといいます。

歩き方研究3.パワ―ウォーキング
ウォーキングでもなく、ジョギングでもない、パワーウォーキングというスポーツがあります。これを編み出したのは、ドイツの元競歩選手ハートヴィッヒ・ガウダー氏で、この人は二度に渡って心臓移植手術を経験した人です。
ただ歩くだけではなく、心拍数をもとに負荷を調整することにポイントがあり、普通のウォーキングよりもダイナミックな腕の動きと、早足の歩行速度で歩くのが特徴です。そのスピードは、通常のウォーキングの1.5倍程度の速度が目安とされます。心拍数を、最大心拍数の60〜75%を維持するように歩きます。この心拍数は、220から年齢をひいた数値が一般的です。
歩き方は、腕を約90度に曲げ、しっかり大きく振ります。後ろへの振りを、より大きくし、歩幅は直立して体を前傾した時に自然に足が出る状態にして歩きます。

何冊かの本を手に入れ、その図解を頭に入れてウォーキングに出発し、これらの歩き方をいろいろ試します。この冒頭に書いた「快〜感〜」はパワーウォーキング試行中の、自分にうっとりしている姿です。暗闇を「ナンバ歩き」するのも楽しみで、音を立てずに通り過ぎると、思わずゾッとして振り返る人がいて、これは趣味が悪いと、そのあと暗闇での「ナンバ歩き」は慎んでおりますが・・・。

びお特集
お散歩以上、ジョギング未満。パワーウォーキングのススメ。
http://www.bionet.jp/2008/10/walk/

退院後1カ月

(2010年6月1日〜30日)

世界糖尿病デー(11月14日)のシンボルマーク「ブルーサークル」

世界糖尿病デー(11月14日)のシンボルマーク「ブルーサークル」

まず、記録した数値表を提出します。

数字は正直だからです。「小池は正直者だな」と思ってもらえたら幸いです(笑い)。
前回、入院期間の数値を出しましたら、何人かの同病者の方からメールをいただきました。同病者の一番の関心は数値なんだ、と思いました。数値がピンと上がると「あいつ、何を食べたんだ」と、つよい“猜疑心”をもって、その裏を読もうとします。それは血糖値が、生活の写し絵だからです。
この“猜疑心=疑いやすい性格”は、糖尿病患者にとって、習性に近いものがありますが、個人的には進歩の証しと思っています。それまでは、そんなことに関心を何も持っていませんでしたから・・・。

それでは、同病者の興味の的、血糖値推移をみてください。

血糖値推移 2010.6(印 新記録)

期日 万歩計  
1(火) 150     9,581 退院
2(水)       15,225 昼休/佐鳴湖一周
3(木)       10,450  
4(金)       7,557  
5(土)       7,805 血糖値測定器購入
6(日) 140 121 169 13,475  
7(月) 176 217 207 17,562  
8(火) 152 136 155 8,750 出張/諫早➞東京
9(水) 149 114 116 12,586 東京
10(木) 106 172 217 14,056  
11(金) 147 157 122 6,666  
12(土) 143 191 141 11,620 名古屋
13(日) 140 136 209 9,639  
14(月) 126 213 180 19,139 サッカー・カメルーン戦
15(火) 157 109 161 9,001 昼食前7000歩
16(水) 125 186 217 15,369  
17(木) 152 149 182 11,264 東京
18(金) 機器機能せず     18,006 東京
19(土)     152 8,021 サッカー・オランダ戦
20(日) 110 162 115 22,387  
21(月) 114 118 94 12,160  
22(火) 119 147 146 10,084 大阪
23(水) 136 153 122 15,149  
24(木) 141 168 104 10,366 サッカー・デンマーク戦
25(金) 155 163 148 16,310  
26(土) 98 119 136 6,028  
27(日) 127 179 132 6,400 雨中歩行
28(月) 122 159 132 13,247 日中暑し。夜歩く
29(火) 116 168 103 18,556 サッカー・パラグアイ戦
30(水) 124 158 172 6,229 東京
月平均 140 156 154 12,089  

この詳しいことと呼吸法について、次回書きます。

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  1. 糖尿病改善ドットコムさんからのコメント

    2010/9/3(金)01:00

    こんにちは。
    糖尿病の改善は一筋縄ではいきませんね。
    私も情報収集して有用な情報を流せればと思います。

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