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猫に学ぶ

画と文・益子義弘
2010年07月28日 水曜日
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猫に学ぶ

 猫は天才だ。その心地よい居場所を見つける才には舌を巻く。
 冬の日だまりはいうまでもなく、安心な部屋の片隅や、夏には涼気のある影や風通しのよい場所をすっと選ぶ。寒い時にはまぁるく小さく丸まり、ぐったりとする暑さの時にはのびのびと長ぁく伸びるその姿勢。日々に見るともなくふと気付く程度のことだけれど、ぼくらの設計はそんな居場所の心地や暖涼の具合をけっこう苦労して探しているのではなかったか。
 もうひとつ言えば、猫は風景のような、気配みたいな存在だ。勝手にただ居て、でもそれが和みの一点のように気持ちの何かを埋める。あえて言えば、ほのかに燃える火を見たり、植物や花に気持ちが和むのに似て、ただ居るだけを目にしているだけで心安らぐ。いつもほんとうに寝ているだけなのだけれど、そんな和み探しもぼくらが住まいの設いを考える時の課題のひとつである。
 ここから「うちの猫はネ…」と個々のことを言い始めると話は危ない。いま流行りのペット談は、よほどの視野の広がりを持つ語り部によるのでなければ大概は聞くに堪えない。聞く側についムクムクと対抗的な感情が頭をもたげ、どうも気持ちの始末がつかなくなるためもあるのだろう。
 で、居場所のことに話しを絞りますが、うちの猫はぼくが席に着くとスッと膝にとび乗ってじっとうずくまる。そこがもっとも心地よく安心らしい。ほらやっぱり、もう気持ち白けたひとがいるでしょう。

座る 丸くなる

猫の目 丸くなる

猫膝に乗る

伸びて寝る

益子義弘(ますこよしひろ)

1940年 東京に生まれる。1964年 東京藝術大学建築科卒業。1966年、同大学院修了。吉村研究室助手を経て、永田昌民とM&N設計室を開設し、建築家として活動。
東京藝術大学名誉教授。「益子アトリエ」を自宅敷地内に構える。

著書/『建築への思索—場所を紡ぐ』(建築資料研究社)
『湖上の家、土中の家—世界の住まい環境を測る』(農文協)
『住風景を創る』(彰国社)ほか

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