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書評:『東京ー変わりゆく町と人の記憶』写真/大橋富雄 文・スケッチ/益子義弘・永田昌民

文/小池一三
2010年07月13日 火曜日
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はてなブックマーク - 書評:『東京ー変わりゆく町と人の記憶』写真/大橋富雄 文・スケッチ/益子義弘・永田昌民

東京町や街の古い写真を集めた本はいろいろあって、各地の郷土出版社などでも、よく作られています。そうした類書と、この本が決定的に異なるのは、一人の写真家の目を通して30年前の東京が写真に撮られ、その探訪の記録が綴られていることです。永田さんの事務所で、この写真と文の初出となる『店舗と建築』を抜き刷りしたものを拝見して、これは本になりますよ、と申し上げたことがあります。
ちょうどその頃、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』が評判になり、日本アカデミー賞の全部門(13部門)で受賞が決まった時期でした。あの映画は、昭和33(1958)年の東京の下町を舞台に、建設中の東京タワーや上野駅、蒸気機関車や都電、街のオート屋と三輪自動車など、当時の東京の姿が再現され、人々の記憶を呼び覚ましてくれました。この映画のこともあり、また、愛知万博で宮崎駿が古い日本家屋を再現したこともあって、この本はイケルと思ったのでした。

『店舗と建築』の編集には、『住宅建築』(編集/建築思潮研究所)の名物編集者として知られた立松久昌さんが関わっておられました。立松さんはお酒に目のない方で、親しい人を夜中の2時位に電話に呼び出すことがあります。永田さんは、酒場だけでなく、夜中の電話によく付き合われましたが、わたしの方にも頻繁に掛かるようになり、眠い目をこすりながら、一人前として認めてくれるようになったのだと喜んだものです。

その立松さんがこの企画に加わられ、また、若き益子義弘さんや永田さんが一緒に取材されたというだけで、ぼくは無条件にこの本を推しますが、何といっても写真がよくて、見ごたえ抜群の一冊になっています。

映画『ALWAYS 三丁目の夕日』は、昭和33(1958)年が舞台になっていますが、この本はそれから15年後の昭和50年代(1975〜1980)を写し出しています。しかし、この写真集と映画で再現された世界は重なっていて、そうしてみると、現在の東京の大変化は、それ以降のことになります。

この本の新宿副都心の超高層ビルが一つだけ立った写真が出ていますが、永田さんは「取材の記憶」のなかで「ぼくにはその後の東京の町並みを予感させるメッセージと思えてならない」と書いていますが、この間の変化の意味について、ぼくらはそろそろ検討をするべき時機に来ていると思います。

その意味でこの本は、間違いなくそのメルクマークになる一冊だと思います。
(秋山書店刊 定価2800円+税)

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  1. たかさんさんからのコメント

    2010/7/30(金)15:42

    ボクも手に入れました。
    ひとつ「楽しみ」がふえました。

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