特集
新築以外の選択肢・既存住宅の断熱・耐震大改修
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耐震・断熱工事の実例
ここで紹介する住宅は築約30年。12年ほど前に中古で購入したものです。購入後も、床抜けの補修などを繰り返しながら暮らしてきましたが、雨漏りや床のゆるみなども目立ってきて、新築の検討をはじめました。
新築の検討にあたり、いくつかの工務店やメーカーを検討しましたが、予算の関係や、予定していた仮住まいができなくなってしまったことなどから、いったんはあきらめかけたのですが、あるときリフォームでもいいのでは、ということを思い立ち、暮らしたままの大規模改修を検討することになりました。
工事を担当したのは、町の工務店ネットに参加している入政建築です。
入政建築は、地域密着型工務店で、地元の住宅のほか、神社や神輿の修繕なども行っています。入政建築を選んだ理由は、新築検討時にも候補だったこともありますが、改修という話でもきちんと話を聞いてくれたということが大きかったようです。
対象物件はおよそ築30年。
壁を剥がしたところ。耐震工事も行います。
暮らしたままの改修のため、奥のキッチンは使用可能な状態。
この家には断熱材が入っていませんでした。断熱材を施工します。
玄関を増築、土間スペースに。
居室も増築です。
施工中の階段。
耐震補強工事も行います。

改修完了。外構もあわせて工事を行い、すっきりしました。

暗いのが気になっていたという以前のリビングとは一転した明るいリビングです。
デッキも追加されました。
2階の壁はお施主さんが施工中。
洗面所。
これは「一行日記」!
詳細は、入政建築のサイト内レポートをご覧下さい。お客さんとの出会いから、改修工事のポイントなども触れられています。
Tさんちの大改修物語 【入政建築】
http://www.irimasa.net/category/report/daikaisyu/
耐震基準・省エネ基準の推移
下のグラフは、びおでもよく紹介している既存住宅と法改正・省エネ基準の遷移です。

こうしてみると、耐震基準を満たさない住宅がたくさんあることがわかります。
一方の省エネ基準については、実は建築基準法では定められていません。住宅の省エネルギー性能は、性能表示制度や長期優良住宅、最近では住宅エコポイントなどで語られるようになりましたが、法制化はされていないのです。
(上で紹介した住宅は築約30年、ちょうど43%という線がひいてあるあたりの建築です)
建築基準法 第一条では、目的として以下のように定めています。
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
耐震、耐火といった事柄は、生命・財産を脅かすことからこの法律に定められていますが、省エネルギー性能が低くても生命・財産を脅かすことはない、ということもあったのでしょう。
建築基準法は1950年に制定されました。その後、十勝沖地震を教訓にした1971年の鉄筋コンクリート造の柱のせん断補強筋規定の強化、宮城県沖地震を教訓とした1981年の新耐震設計基準の導入など、耐震に関わる見直しが行われてきました。
一方の省エネルギーについては、1980年に省エネルギー基準、1990年には新省エネルギー基準、1999年に次世代省エネルギー基準が定められましたが、これらは建築基準法による義務付けはなく、あくまでも基準にすぎませんでした。
下のグラフは、これも何度か掲載している省エネ基準の変遷とエネルギーの消費の関係です(作成・EOM株式会社)。

次世代基準と無断熱では、5倍近いエネルギー消費の差があることが読み取れます。
無断熱の住宅と、現行の基準ではこれだけの違いがありますが、義務付けされていないため、現在でも無断熱の家を建てることができます。
しかし、省エネルギーと、それによる温室効果ガスの排出を抑えようという社会情勢から、住宅の省エネ化の義務付けに向けての議論が活発化しています。
先ごろ、前原国交大臣が住宅の省エネルギーの法制化について言及しています。
4/16 前原大臣会見要旨(国土交通省)
www.mlit.go.jp/report/interview/daijin100416.html
長期優良住宅などで、すでに当たり前のことにも思える「住宅の省エネ」ですが、法に定められていないため、実際には新築住宅でも次世代省エネ基準を満たす住宅は半分以下と言われています。
大臣発言では、大型物件から段階的に省エネ適合率を引き上げていくとしています。すぐに住宅の省エネが義務化されるわけではありませんが、大きな流れとしての省エネ住宅義務化ははじまっているといっていいでしょう。
「既存不適格建築物」とは
基準法に従って建てられた建物が、法改正によって基準に適さなくなってしまうことがあります。
これを「既存不適格建築物」といいます。法律には不遡及の原則がありますので、建築についても、過去に遡って現在の基準を適用することはできません。
建築基準法には事実上違反していることになりますが、そのまま利用することが認められています。とはいえ、現行基準を満たさないのは事実です。死者6,434名を数えた阪神淡路大震災では、犠牲者の80%相当、約5000人が家屋の下敷きによって亡くなっています。全てが現行基準で建てられた家だったら、この犠牲者の数はずっと少なかった、という説もあります。
建築基準法で新耐震基準が定められた1981年、そして初めての省エネ基準が定められた1980年より前に建てられた住宅は、全住宅の40%以上を占めます。
省エネが義務化されれば、現在建てられている住宅も、「既存不適格建築物」になってしまうこともありえます。次世代省エネ基準を満たす住宅は、全住宅の5%程度といわれており、これが義務付けられれば、現在の95%の住宅が既存不適格建築物になることになります。
既存不適格だからといって建て替えることが義務付けられるわけでもありません。しかし、安全や省エネルギーの観点から見て、これらの住宅をそのままにしつづけていいのでしょうか。
先ごろの中国の地震でも、多くの住宅が倒壊し、たくさんの犠牲者が出てしまいました。新しく建てる家はもちろんのことながら、既存の住宅でも同じように安全を確保することは、行政からみても、そこに住む人から見ても急務です。
住宅版エコポイント
さて、家電でおなじみになったエコポイントの住宅版がスタートしています。家電版と同様、ある基準を満たす場合にエコポイントを付与し、商品・サービスと交換できたり、即時交換で追加工事の料金支払にあてたりということができます。
住宅の場合は、新築だけでなく、リフォームも対象となります。
新築木造住宅の場合は、次世代省エネ基準をクリアすること、リフォームの場合は定められた仕様を満たす窓を使う、一定量以上の断熱材を使うなどがポイントの対象となります。
リフォームの場合は、窓の大きさごとにポイントが定められ、使用された枚数に応じてポイントがつきます。また断熱工事は外壁10万ポイント、床5万ポイントといったように部位ごとにポイントが定められています。一戸あたりの上限は30万ポイントで、新築の場合と同じです。
3月末の時点でのポイントの申請状況は、新築10件・リフォームが337件と、圧倒的にリフォームが多い結果でした。
新築の場合は最大30万ポイント(30万円相当)と、木のいえ整備促進事業(長期優良住宅普及促進事業)による補助金(最大120万円)や、長期優良住宅先導事業(採択制)による補助金(最大200万円)に比べると少ないこともある一方で、リフォームのポイントは、特に第三者の認定を取る必要もなく、お得感があるようです。
また、耐震補強工事については、各自治体による補助制度が実施されています。
大改修を行っても、費用は新築ほどにはかからないことが多く、「いいものをながくつかう」というこれからの社会にもマッチします。愛着のある家を壊さずに住み続けられる、ということは、場合によっては新築に勝る魅力かもしれません。今の家に不満があるからといって、即建て替え検討ではなく、なおして暮らし続けることも考えてみませんか。






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