特集
対馬から”林業再生”を考える 森里海連環学実践塾in対馬レポート

複雑な湾の形により長い海岸線を持ち、森林にも覆われる島・対馬。
この1月23日、対馬森林組合主催、日本に健全な森をつくり直す委員会、森里海連環学実践塾、町の工務店ネット、森里海実践塾in対馬実行委員会の共催による、「対馬から”林業再生”を考える」ー”森里海連環”思想の提案ーと題したシンポジウムが開かれました。
今回の森里海連環学・実践塾は、シンポジウムを含めた3日間にわたり、長崎県対馬市で開催されました。
改めて・対馬とは
これまで何度か紹介していますが、改めて対馬とは。
日本海・九州北西に浮かび、韓国釜山まで49.5km、福岡まではおよそ145kmの国境の島です。
佐渡、奄美大島に次いで日本で3番目に大きな島で、南北82キロ、海岸線の延長は915キロ、複雑な湾の地形を持ち、また森林率は89%と、自然との関わりが深い島です。
先の特集でも述べているように、長崎県の木で家を作ろうと考えたときに、持続可能に供給可能な県産材の光を対馬に見出したことが発端です。
対馬の檜は、かつて「対州檜(たいしゅうひ)」と呼ばれ、戦後に多く出荷されてきました。その結果がどうなり、今後どうなっていくのか。それがシンポジウムのひとつのテーマでもありました。しかし対馬を考えるときに、山のことだけを考えてもはじまりません。対馬は海に囲まれた島であり、そして漁業者と林業者、そして農業者がそれぞれを兼ねているという島なのです。海と山は川で結ばれ、そしてそこに人の営みが加わってつながりを持っているということを考える「森里海連環学・実践塾」の舞台に相応しい場といえるでしょう。
22日・対馬に入る

龍良山遠景。
翌23日にシンポジウムを控え、一行は古来より斧が入ったことがないといわれる霊峰・龍良山(たてらさん)に入りました。今から6000年ほど前、西日本にはタブ・シイ・カシが茂る大きな森がひろがっていました。龍良山の原始林は、その生き残りといわれています。龍良山には神が住むといい、人間の立ち入りを禁じてきたのです。そのため、「斧が入ったことがない」といわれ、天然記念物法が制定されて間もない1923年に「龍良山原始林」として国の天然記念物に指定されました。以来、人の手が入らない原始の山を保っています。
標高559mのこの山は、標高350m付近を境に、シイとアカガシの林域にわかれています。
この標高差による植物相の違いと、老大木が倒れてできる林冠ギャップ(すきま)により、太陽の光が届き、そこに好陽性の植物が育つことで、生物多様性が確保されています。
原始林だからといって大木だけが残るのではなく、大木と若木が混生しています。人工林とはまったくことなる森のありかたといえるでしょう。
龍良山の詳細は、「対馬の原生林に、日本列島の原郷を見た」で紹介しています。ので、あわせてご覧下さい。
※龍良山に入山する際は厳原森林事務所への申請が必要です。ご注意ください。

原始林と聞くと鬱蒼として陽が当たらないイメージを持ちますが、龍良山には陽が入っていました。

大木が倒れ、そこに陽があたり、そこにまた植物が生えてきます。倒れた木は菌類に分解され、いつか土壌となって循環します。

龍良山に多く見られる板根(ばんこん)。対馬の特徴として、土壌のすぐ下は岩が多く、根が下まで張れないことから上部に板状にもりあがる現象。

人との比較で板根の大きさ、木の大きさがわかります。

アカガシ林域まで登りました。


対馬に残る石屋根を見学。石屋根は「玄界灘に浮かぶ対馬に、古代の森と、今の森を見に行く」でも触れています。
(このページ・佐塚昌則)
次のページでは、23日のシンポジウムの様子を、講演者のひとりでもある小池一三がレポートします。


