花々舎の草花
大雪・閉塞成冬(そらさむくふゆとなる ) サンゴミズキ
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一ヶ月も前からクリスマスとお正月のデザインを考えています。
その悩める季節にたびたび登場するのがサンゴ水木です。
名前のとおりサンゴのような赤い木肌を持つ植物です。
今年も又、サンゴ水木が部屋の片隅に立てかけてあります。
よく切れる枝切バサミでサンゴ水木を斜めにカットします。
するとその切口は白い断面を持つ赤い線に変わるのです。
スパッスパッと生まれてくるみずみずしい断面と長短の赤い線。
その素材の面白さに共感して欲しくてこの日のサンゴ水木になりました。

室生犀星は、私生児として生まれました。実の両親の顔を見ることなく養子に出され、
オカンボ(妾)の子だといわれて育ちました。
夏の日の匹婦の腹に生まれけり
この句は、犀星50歳の句です。50歳になっても、自分の出自にこだわっていたのですね。そのことは、小説にも書かれていて、たとえば愛娘を描いた『杏っ子』においても、抑えがたく噴き出してきます。この『杏っ子』は、明らかに自伝小説で、主人公平山平四郎は、犀星その人です。それは、この小説について本人が書いていることで明らかです。
「ただ、このような物語を書いているあいだだけ、お会いすることが出来ていた。物語をつづるということで、生ける母親に会うことのできるのは、これは有難いことのなかの特に光った有難さなのである」。
主人公の平山平四郎は、金沢の足軽と女中のあいだに生まれました。そして生後まもなく寺の貰い子となって、僧侶の妻の苛酷な仕打ちを受けます。12歳で裁判所の給仕にさせられ、21歳になって金沢を脱出します。そして作家になることを思い立ちます。そんな平四郎に娘が生まれます。名前を杏子とつけました。小説は、杏子を育てながら、父と娘の関係をさまざまに描きながら、「見えない母」のことが、ちらちらと顔を見せます。
金沢は、そんな犀星にとって、複雑な土地で愛憎半ばのものでした。
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
『叙情小曲集』「小景異情」より
この詩のふるさとは、とても複雑です。
表題の詩は、
美しき川は流れたり
そのほとりに我はすみぬ
春は春、なつはなつの
花つける堤に坐りて
こまやけき本の情けと愛とを知りぬ
いまもその川のながれ
美しき微風ととも
蒼き波たたへたり
『抒情小曲集』 「犀川」 より
と綴られ、抒情の世界に誘われますが、そのふるさとは、いつも「小景異情」を孕んでい
て、そう単純なものではありません。
犀星の写真を見ると、怪異な顔をした人です。いわゆる、イケ面ではありません。しかし、
その心はガラスのように壊れやすく、繊細です。
この複雑を、犀星自身抑えがたく、『杏っ子』だけでなく、『幼年時代』『性に目覚める頃』『あにいもうと』などの小説に書いたのではないかと思います。
小説に描かれた自画像としての犀星の全体を通して、『抒情小曲集』を読み直すと、抒情が持つ痛切がよく分かります。
大雪「閉塞成冬・そらさむくふゆとなる」
http://www.bionet.jp/2008/12/bio72_61/



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