花々舎の草花

立冬・山茶始開(つばきはじめてひらく) ホトトギス

2009年11月07日 土曜日
ホトトギス
ホトトギス02

 今年のホトトギスは大変だったのよ。
 ――― いえ、鳥のホトトギスではなくて
 植物のホトトギスのことですの。

春には庭木の剪定に入った職人さんの地下足袋の下になり、夏には暑さで葉の1/3が茶色にしおれ、秋には台風の風に倒れて完全にノックアウトされたと思っていました。
でも見て下さい。咲きました。
却って魅力的な動きをみせるホトトギスになりました。

私には愛着の湧いてくるホトトギスです。


旬の句

ホトトギス03

この句には「夫の忌日に」という前書きがあります。
橋本多佳子は、美女の誉れたかく、ゆくところ座はどこもが華やいだといわれる未亡人です。いろいろなエピソードに彩られています。小倉の西洋館に住み、そこを高浜虚子が訪れたとき、多佳子は暖炉の上の花瓶から落ちた椿の花を燃え盛る暖炉の焔のなかに投げ入れます。それを見た虚子は、「落椿投げて暖炉の火の上に」という句を詠みます。それで多佳子は俳句に興味を持ち作句するようになりました。
多佳子は、幸せな人でしたが、不幸に突然襲われます。夫が急逝したのです。

月光にいのち死にゆくひとと寝る

そのとき、多佳子は38歳でした。

曼珠沙華咲くとつぶやきひとり堪ゆ

表題の句も、そんな心境の中の句です。亡くなってから4年後の秋の句です。自分ひとりしかいないのに二人なのだ、という句です。この人の感情量は多くて、凡人はそこまで思いが及びませんが、一つの小宇宙といっていい世界がそこにあります。

雪はげし夫の手のほか知らず死ぬ

夫が亡くなって12年後の句です。夫のつよい腕の力を思い出すのです。

雪の日の浴身一指一趾愛し

64歳で亡くなる前に詠まれた句です。


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