花々舎の草花

立秋・涼風至(すずかぜいたる) 青いりんご

2009年08月07日 金曜日

青いりんご02

青いりんご01

「暑いですね〜」があいさつになる今頃になると摘みとった草花はあっという間にうなだれてしまいます。
生花市場に顔を出したら小さな青いりんごが夏の花と一緒に並んでいました。市場のお兄さんに「この青いりんごは何処から来たの?」「摘果されたりんごの有効利用かしら?」と尋ねても笑って答えてくれません。事情がありそうな青いりんごはそれでもさわやかな涼を運んできます。
ガラスの器にりんごを入れただけでも素敵なのですが今回は庭のグリーン(注)4種類とあわせてみました。
(注)玉シダ、アセビ、ミスカンサス、花のおわったヒゲナデシコ

旬の句

青いりんご01
[季語/蝉]
前回に続き、今回も蝉を取り上げます。この句にある朴葉は、大きなものは40センチもあります。葉の形は楕円形で、白っぽくて明るい緑です。花は6月頃に咲きます。白色の大きな花で、葉の真ん中から顔を出して、真上に向かって開花します。葉も花も芳香がつよく、山を歩いていると、匂いで朴の木があることを気づきます。
蝉の鳴き声を聞いていたら、そんな朴の広い葉が風に吹かれて揺れている、と河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)は詠みます。子規は、碧梧桐と虚子について「虚子は熱き事火の如し、碧梧桐は冷やかなる事氷の如し」と評しましたが、この句を詠むと、そんな碧梧桐の涼やかな風姿が髣髴とされます。「赤い椿白い椿と落ちにけり」は、碧梧桐の代表作。


青いりんご02
[季語/蝉]
飯田蛇笏(いいだだこつ)は、山梨境川村(現笛吹市)の人です。名字帯刀を許された大地主で旧家の長男として生まれました。早稲田大学に進みますが、中退し帰郷します。蛇笏の句は、山梨の山間で創作されたものが大半を占めますが、その句風は孤高を誇り、重厚なものです。蛇笏には5人の子どもがありましたが、長男・三男が戦死、次男が病死、四男の龍太が家督を継ぎました。龍太はのちに俳人として立ちます。そうした不幸を経て、蛇笏の句風は次第に静穏なものに変わったとされます。この句は、そんな蛇笏の句です。芭蕉に「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」という句があります。蝉は今を盛りに鳴くだけで、死の予感はないと芭蕉はみています。蛇笏は、蝉に付きまとう死の影を見たくないのか、蝉が鳴く奏(しら)べを、流れゆく雲にみたてて生を謳います。


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