びお・七十二候

半夏生・はんげしょうず

2009年07月02日 木曜日
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半夏生

半夏生と書いて、はんげしょうずと読みます。
かつては夏至から数えて11日目とされていましたが、今では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日になっています。7月2日頃にあたります。
この頃に降る雨は「半夏雨」(はんげあめ)と呼ばれ、梅雨の後半にあたり大雨になることが多く、今年も九州に大雨がもたらされました。
この日は、農家にとっては大事な節目の日で、この日までに農作業を終えて、この日から5日間を休みとするところもあります。そういうところでは、ハンゲという妖怪が徘徊するという言い伝えがあり、この時期に農作業をしてはいけないという戒めになっています。その日までに田植えを済まさないとまずいという物忌みと、勤勉な農民に対する骨休めを、妖怪の徘徊に喩えて奨励したものと解せます。
関西ではこの日に蛸を食べる習慣があります。何故、蛸なのかを考えてハタと気づいたのは、田に植えた稲の苗が、たこの足のように大地にしっかり食い込むことを願ってのことでは、ということでした。この日に蛸を食べる習慣は、可笑しみを誘われますが、民衆の知恵は、しばしばこういう飛躍があっておもしろいのです。

半夏生は、植物の半夏から来ていて、半夏は、カラスビシャク(烏柄杓)というサトイモ科の植物です。山地の道端や畑地に自生する多年生草本で、畑では雑草とされます。この時期の半夏は、葉の半分ほどが白くなります。「半化粧」「片白草」とも呼ばれ、それで半夏生といわれるようになりました。
有毒植物ですが、生薬としても用いられます。塊茎は生薬とされ、日本薬局方にも収録されています。鎮吐作用のあるアラバンを主体とする多糖体を多く含んでいて、半夏湯(はんげとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などの漢方方剤に配合されます。サポニンを多量に含むことから、痰きりやコレステロールの吸収抑制に効果があるとされます。
北アメリカの一部では、侵略的な外来種として敵視されているそうです。

半夏生を詠んだ句をふたつ紹介します。

病室に降る煤のあり半夏生
[石田波郷]

ぼんやりと亀の浮きたる半夏かな
[村井美意子]

 
波郷の句は、結核という病いに冒され、病室の窓から降り続く雨を見やりながら、どうしようもない鬱々を詠んだ句です。「煤のあり」に、それが滲み出ています。
村井美意子の句は、穏やかなもので、まさに「ぼんやりと亀の浮きたる半夏」が詠まれていて、半夏生のいわれを知ると、そういう過ごし方がもっとも適っているように思われます。

きょうは、半夏生の句とは別に、久しぶりに子規の句を紹介します。

這ひいでし虫おさへたる団扇哉

この時期、どこからともなくヘンな虫が現れます。それに気づくのは、わが家ではネコのミーちゃんで、鼻で感じるのか、目が捉えるのか、音で気づくのか分かりませんが、虫を見つけると、それを追いかけます。逃げまどう虫が、何かの拍子でこちらにやってくることがあって、そんなとき、思わず手にしている団扇で反射的に押さえてしまうことがあります。団扇を上げると逃げてしまうし、かといって素手でつかんだら刺されたり、イヤな臭いを発するかも知れません。猫のミーちゃんは、獲物を盗られたと思ってか不機嫌な顔をしています。
この句を読みながら、そんな光景がふと思い浮かびました。子規には、

二階から屋根船招く団扇かな

という句もあります。いい役者は小道具の使い方がうまい、といわれますが、子規の句を読むと、俳句においてもいえることのように思います。

俳句

半夏生

半夏(烏柄杓)(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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