特集
「小さな家から」という発想。長期優良住宅・その一
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日本版グリーン・ニューディール
――「小さな家から、」という発想

今回は「小さな家から」をテーマとする特集ですが、「小さな家」を50年ローンで建てれば、月々の支払いもラクで、建てられる人もぐーんと広がりますね。
長期優良住宅は、規模が大きくて、建築費もかさむ「邸宅」を想像しがちですが、2月24日に公示された基準では75平方メートル(約22.7坪)以上であればOKということになりました。この公示を見て、わたしは「やったぁ!」と思いましたね。それでも不安なので、念押しに国交省に行って確かめました。そうしたら、「小さな家」だけを強調されるのは何だけど、「小さな家から、」ということならいいのでは、という回答がありました。

「小さな家」で完結ということでなく、
「小さな家から・・・」ですね。
発想としても、その方が広がりを得られるので、「それいただきますよ」と言ったら担当官はニヤッと笑顔を返してくれました。
いま「下流社会の進行」が言われます。それは、即ち「中流社会の崩壊」を意味していて、もう「持ち家」は夢に過ぎないと思われています。高度経済成長期には、真面目に働いていたら、もしかしたら持ち家が可能かもという夢がありました。そのエネルギーが日本の経済を押し上げ、「中流意識」をつくりました。今、それが失われてしまったのです。

安かろう・悪かろうではなく、長期優良住宅で、しっかりした長寿命の家を、ゆっくりと、フラットに支払いながら、親子二代で手に入れよう、というわけね。
今の地方の若い人に、子どもを大学にやって、家も建てるのはもうムリなのでは、と聞くと、みんなそうだと言います。ボーナス併用払いのような、ムリなことはしないことです。二代で払うというのは、子どもに借金を残したくないという日本人の良俗に反しますが、家を建てるとはそういうことだ、という通念が社会化されれば、みんな受け入れるようになると思います。
そういうことならと、若い人が立ち上がってエネルギーを燃やして家を建てれば、この国は少しは元気を取り戻せると思います。

日本版グリーン・ニューディールというわけね。
そうです。
耐震性が指摘される、古い家屋をどうするか?

表3 世代別居住年数

1981年の「新耐震基準」以前の住宅が46%、阪神淡路大震災を経験して打ち出された、2000年の建築基準法改正以前の住宅が94%ですか。これをどうするかが大問題ですね。
その通りです。このグラフを見ると、高齢者になるほど築年数の高い住宅に住んでいる割合が高いことに気づきます。最近の地震被害でも、高齢者の住む古い木造住宅が目立ちます。
これを放置したまま、大地震が起こったら被害は甚大です。神戸の結果に学べなかったということになりかねません。マスコミは地震が起こって被害が発生すると、有効な手が打たれなかったと批判するでしょうが、今、それをどう考えるかということは書きません。

過疎が進んだ地方だけでなく、都市でも高齢化が進んでいて、お年寄りばかりの町が少なくありませんよね。
そこです。都市の真ん中でも、古い郊外団地でも、お年寄りが多い町が少なくありません。息子や娘たちは、家が古くて狭いからとアパートを借りたりして、ムダなお金を払っています。家には老夫婦だけが住んでいて、街中の商店街はシャッターを閉じて不便を強いられています。目先の利いたコンビニは、そういう人を対象にした品揃えをするようになり、郊外の大型店は衰微して、人はもう一度、街中に還って来るという経済評論家もいますが、しかし、わびしい現実があるのは確かです。

息子や娘が、その家に戻って、長期優良住宅で建てれば、家賃は助かるし、家族を回復することが出来ますよね。
そういう可能性を、町の工務店は追求したいですね。町医者と薬局が手を組んだり、萌芽的ではありますが、町の復権への動きが出ています。長期優良住宅は、そうした点でも視野を与えてくれる取り組みだと見ています。
住まい計画の根本が変わる

このように見てくると、
長期優良住宅が持つ意味はなかなか大きいですね。
日本の住宅を大きく変えることになると思います。阪神淡路大震災から積み上げられてきた住宅建築の考えがそこにあり、地球温暖化問題に対する住宅側のアプローチがそこにあり、これからの日本人の生活と経済、さらには町づくりにかかわる将来展望がそこにあります。

個々にとって大きいのは、
資産価値を持つ住宅になるということね。
そうです。これまでは20年経ったら使用価値(本人にとっての価値)しかありませんでしたが、資産価値を持てるようになるのです。今までは一生住むことを前提に設計して、建ててきましたが、いうなら「処分も出来る家」になるのです。家族の進路をどう選ぶかという選択肢もぐんと広がります。

家の設計も建て方も変わるのかしら?
そこが大きいと思います。住まい計画の根本が変わります。
アメリカやイギリスは住み替え、買い換えによって住宅レベルを変えるものとしてきましたが、日本人は、家を一度建てたら一生「住み付く」ものと考えてきました。その根本が変わりますからね。住み続けてもいいし、処分もできる、いろいろな選択が可能になる家として計画されることになります。
次回の更新では、長期優良住宅の住まい計画を取り上げます。





2009/5/28(木)14:29
かずさん
コメントありがとうございます。
これまで住宅の性能表示は、制度こそあれ実際には導入が進んでいませんでした。
今回の政策で再度クローズアップされる形となりましたが、仰る通り、必ずしも性能の高さ=設計のよさ、にはなりません。次回の特集、お楽しみに!
2009/5/27(水)21:32
長期優良住宅の助成策は破格ですね。国交省の本気度が伝わってきますが、性能の高さが、果たして設計の良さにつながるのか、次回更新の特集に期待します。