特集

追悼特集・忌野清志郎のライブが見たい!

2009年05月21日 木曜日

忌野清志郎さんの葬儀式にて。紅白の幕に派手な花。

忌野清志郎さんの葬儀式にて。紅白の幕に派手な花。

5月2日、忌野清志郎さんが亡くなりました。このことは大きく報道され、またオンライン音楽販売最大手のiTunes Music Storeでは、清志郎に関連した曲、アルバムが人気を集め、5月19日時点で、ロック部門のアルバムトップ10中6つを彼の関係作品が占めるという人気ぶりです。
現在活躍している音楽関係者の中にも、彼の影響を受けたという人は多く、惜しむ声が後を絶ちません。

テレビでも次々に特番が組まれ、また、5月9日に行われた一般弔問では、4万人を超えるファンが駆けつけました。彼の何がそんなに人々を惹き付けたのでしょうか。
謹んでお悔やみ申し上げつつ、追悼の意を込めての忌野清志郎特集です。

新聞各社の言葉を見る

今回の清志郎の訃報にあたって、報道各社が清志郎に冠した言葉を見てみると、

  • 『「ベイベー!」や「愛し合ってるかーい!」などの決めぜりふ、奇抜な衣装と演出で知られるロック歌手』(毎日新聞)
  • 『バンドRCサクセションやソロで活躍した日本を代表するロックシンガー』(朝日新聞)
  • 『ロックバンド「RCサクセション」やソロのボーカリストとして活躍した歌手』(読売新聞)
  • 『雨あがりの夜空に」「スローバラード」などのヒット曲で知られるロック歌手』(日経新聞)
  • 『怖いもの知らずのロック魂と、ナイーブな少年性』(産経新聞)

全体的に「ロック歌手」として扱われています。きっと新聞各社はそんなに深く考えなかったのでしょうが、清志郎を「ロック歌手」として括ってしまうのは、ちょっと違和感があります。「ロック」の定義はとても曖昧です。
『ドカドカうるさいR&R(ロックンロール)バンド』という曲があります。しかしながらロックンロールとロックが同一のものかというと、必ずしもそうとは言えません。また、『ロックン仁義』では「どうせロックはありゃしねえ、演歌やジャリタレばかりじゃないか」と、商業主義ロックを批判しています。

彼が大きく影響を受けていたのはソウルシンガーのオーティス・レディングです。RCサクセションの『Sweet Soul Music』は、その代表ともいえる曲です。また、RCサクセションのデビュー時はアコースティックバンドであり、その後のエレキ化を経て、絵画や詩集など、非常に多彩な活動をしており、たしかに本業は「ロック歌手」だったのかもしれませんし、そんなことまでいちいち報道出来ないかもしれませんが…

そういう面では、産経新聞のコピーは群を抜いていて、きっと清志郎ファンの記者が書いたんだろうな、という感じが伝わってきます。

「言葉」と「ライブ」

清志郎は、いくつかの詩集を出していることでも知られ、また、話し言葉のような日本語を、曲にうまくのせて歌うことでは天才的で、とにかく言葉を大切にしていた人でした。『たとえばこんなラブソング』では、「お前が好きさ おいらそれしか言えない 他の言葉知らない だけど言葉で何が言える」と歌っています。言葉を大切にしているけれど、言葉では伝わらない。

「こんな気持ち、 うまく言えたことがない(トランジスタ・ラジオ)」とも歌い、そんなことを理解しながら、それでも言葉を発し続けたのです。
一方で英語の曲をカバーする際の日本語訳の付け方も独特で、『デイ・ドリーム・ビリーバー』では、原詞の「To a daydream believer And a homecoming queen」に対して「デイ・ドリーム・ビリーバー そんで 彼女がクイーン」と歌っています。「And」が「そんで」とは!

そんな具合に愛の言葉が大好きな清志郎ですが、皮肉も大好き。

Covers
「素晴らしすぎて」東芝からは発売できなかった『カバーズ』
夏の十字架
『ライブ・ハウス』や『君が代(Live)』を収録した『夏の十字架』

1stアルバムの『初期のRCサクセション(1972)』では、『この世は金さ』『金もうけのために生まれたんじゃないぜ』という2曲が並んでいるという、これまたなんともいえない皮肉です。皮肉はこの後もどんどんエスカレートします。
反原発ソングが含まれるため所属レコード会社の東芝から「素晴らしすぎて発売出来ません」とされた『Covers』、そしてその後、「反原発の歌だってみんな言うけど、ちがう、ちがうよ、あれは反核の歌じゃないか」と歌ったかと思えば、皮肉の極み、ほめ殺しの『原発賛成音頭』を披露したりしています。以前は所属事務所やレコード会社への皮肉が多かった歌詞に、このころから、だんだん社会性を含んだものが多くなってきます。
生放送でFM東京をこき下ろした『FM東京』、商業主義のライブハウスを馬鹿にした『ライブ・ハウス』や、君が代問題が世を騒がせているときに、何の歌詞も替えずに歌ったのに発売中止となった『君が代』に至ります。

報道はどうしてもセンセーショナルなものが多く、これらのことは一般にも報道されましたので、ご存知の方も多いでしょう。でも、本当はラブソングが多くて、やさしいものが多いんです

楽曲、言葉、反骨精神、お茶目なところなど、さまざまな魅力がありますが、忌野清志郎の素晴らしさは、なんといってもそのライブパフォーマンスです。だからこそ、そのライブがもう見られないことは、日本の音楽シーンにとって本当に大きな損失。

彼が亡くなったで、さまざまな追悼番組が放送され、これからは、絶版になった過去の関連書籍の復刻や、新たに編集したアルバム等がリリースされるかもしれません。

でもやっぱり、「だけど言葉で何が言える」の精神に則り、ああだこうだと言わずにライブを見ましょう! 新しいライブはもう見られませんが、これまでに発表されてきたライブアルバムや映像を見れば、先の『「ベイベー!」や「愛し合ってるかーい!」などの決めぜりふ、奇抜な衣装と演出で知られるロック歌手』などという表現がいかに陳腐で表面しか表していないかがわかります。

ディスコグラフィー

未見の方にも是非触れていただきたい、ライブ盤を、映像作品も含めていくつかご紹介します。

ラプソディー

Rhapsody NakedRCサクセション初のライブアルバム。「日本の有名なロックンロール」として、『上を向いて歩こう』もカバーしています。最近(2005)になって完全版(ラプソディーネイキッド)が発売されました。しかもDVD付き。当時29歳の清志郎の映像も見ることが出来ます。
(RCサクセション・1980)

the TEARS OF a CLOWN

the TEARS OF a CLOWNRCサクセションの代名詞ともいえる「日比谷野外音楽堂」でのライブアルバム。代表曲とされる曲が多く収録されています。アンコールの『ヒッピーに捧ぐ』は感動的。
(RCサクセション・1986)

ミラクル

ミラクルRCサクセション最後のライブ作品。RCサクセション20周年記念の集大成的映像作品です。この前にメンバー脱退もありましたが、それをマイナスに感じさせないパワー。しかしながら、この年を最後にRCサクセションは活動を休止してしまいます。
(RCサクセション・1990)

GRAD ALL OVER

GLAD ALL OVERRCサクセション休止後初めて、メンバーの仲井戸麗市と一緒にステージに立ったライブアルバム。RCサクセションが休止してしまって、もう最高のライブは見られないんだ、と思っていたファンの思いを吹き飛ばした名盤。
(忌野清志郎&仲井戸麗市・1994)

忌野清志郎 完全復活祭 日本武道館

完全復活祭喉頭がんで音楽活動を休止していた清志郎が復活した! 日本武道館でのライブ映像。仲井戸麗市(G)、新井田耕造(Dr)といった、RCサクセションメンバーも参加し、感動的ともいえる、現時点での最後で最高の映像作品です。
(忌野清志郎・2008)

スタジオ録音のアルバムにも名曲はたくさんありますが、今回は彼の魅力が最も出ているライブ盤だけをご紹介しました。最初はついついベスト盤を買ってしまうかもしれませんが、魅力を深く知るにはライブ盤がおすすめです。


皮肉をいっぱい吐き出しながらも、なぜか多くの人に愛された忌野清志郎。それは、毒を吐く裏側に、愛らしい面があったことを知られていたからなのかもしれません。
しばらくは追悼番組や雑誌の特集等も組まれるようです。オフィシャルサイトに予定が掲載されています。

忌野清志郎公式サイト「地味変」
http://www.kiyoshiro.co.jp/

新しい葬儀の形。行ってきました「青山ロックンロールショー」。

葬儀式看板
長い列
葬儀場の中
献花

私は忌野清志郎のファンです。昔に比べると音楽も聴かなくなってきて、手元にあったさまざまなジャンルの多量のCDもほとんど売ってしまったけれど、清志郎のものだけは全部手元に残してありました。タレント本のたぐいなど、普段は存在さえ馬鹿馬鹿しいと思うのに、「GOTTA!忌野清志郎」とか「愛しあってるかい」などはもちろん買って読みました。ライブの前列で、風邪をひいていた清志郎に風邪をうつされ(と決めつけ)て喜ぶなど、興味のない人からすれば馬鹿にしか見えないかもしれないけど、そう、つまり馬鹿だったわけです。

そんな彼が亡くなってしまった。5月9日に、青山で葬儀式が行われるという。知人でも親戚でもない人の葬式なんか行ったこともない。行ってどうなるのか、何があるのかもわからない。が、これは駆けつけねばなるまい!

道の左右に人の列。8キロに及んだという。暑かったし長かった。
さて5月9日当日。浜松駅から新幹線に乗り、途中、友人と合流して、二人で青山葬儀所に向かう。一般弔問は13時スタート。12時すぎに最寄りの乃木坂駅についたときには、すでに駅から行列ができていた。5時間並んでようやく葬儀場の中へ。でもここでもまたすごい行列。こんな行列生まれてはじめて。大抵のことならこんなに並ばないだろうな。

葬儀場の中では清志郎の曲が流れ、歌っている人や、泣いている人も目立ちはじめます。花を持ち、喪服の人もいれば、清志郎のTシャツを来た人もいます。列が進むと、だんだん泣いている人が目につくようになってきて、泣きたくなる気持ちもわかるけど、これは「ロックンロールショー」だからね…やっぱり笑顔でお別れしよう。

湿っぽくないお葬式、お経もお祈りもないお葬式。カッコよかったよ、キヨシロー!
(一ファン・副編サヅカ)

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  1. 副編サヅカさんからのコメント

    2009/5/22(金)09:52

    りりこさん

    コメントありがとうございます。
    当初はもっと個人的な内容だったのですが、いくらなんでも、と、気が引けて抑えてしまいましたが、愛を感じていただけましたら嬉しいです。

    気持ちの整理つかないですよね。私は青山にいったりこんな記事を書いたりしましたが、それでもまだ、なんだか実感がわかないというか、実感したくないというか。

  2. りりこさんからのコメント

    2009/5/22(金)00:37

    愛が一杯で素敵な記事をありがとうございます。

    わたしはといえば、
    神さまみたいにいるのが当たり前な人が
    いなくなるわけがない と
    騒動の間中ワイドショーも見ず、青山にも近づかず
    それっきりで
    この記事で読んだのが初めてです。
    まだ整理がつかないんで自分のスタンスが決まらない。

    昔なじみのいるおしゃれなバーで
    キヨシロー追悼やるよ!と言われても
    行くかどうか決めかねるわたし。

    でした

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