旬のコラム

蘖(ひこばえ)と樹洞(うろ)にみる二次的自然

菅徹夫(株式会社菅組)
2009年05月13日 水曜日
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ひこばえ(クヌギ)

ひこばえ(クヌギ)

うろ(クヌギ)

うろ(クヌギ)

「里山」とか「雑木林」と呼ばれる天然林(二次林)は、人の暮らしと自然とが密接に関わり合ってきた共生の空間です。そこではクヌギやコナラの木は定期的に伐採され、燃料(薪)として利用されてきました。伐採された切り株からは、新しい芽が勢いよく生えてきます。これを蘖(ひこばえ)と言います(孫生(ひこばえ)とも書く)。植物学的には萌芽再生(萌芽更新)といい、広葉樹にのみ見られる特性で杉や桧、松などの針葉樹には見られません。この新芽は10年かけて成長し、再び薪として利用されます。こうして薪炭林では10~20年周期で伐採と萌芽更新が繰り返され循環してきました。
蘖(ひこばえ)は長年のうちに、樹洞(うろ)と呼ばれる穴を木の根元に作り出します。うろには小鳥やヒキガエル、ミツバチなど多くの生きものが住みつきます。夏になると、甘い樹液にカブトムシなど無数の昆虫が群がります。そこには豊かな生物多様性が形成されるのです。

農耕による二次的自然(香川県綾川町)

農耕による二次的自然(香川県綾川町)

人の手が入っていない原生林などの「原生自然」に対して、里山や農耕地など人の手が積極的に関わった自然を「二次的自然」と言います。たとえていうと映画「もののけ姫」の森は原生林(原生自然)、「トトロ」の森は二次林(二次的自然)といえると思います。この二つはどちらが優れているという類のものではなく、どちらも大切な「日本の自然」なのです。生物多様性の観点からみると二次的自然の方がむしろ原生自然よりも生物相が多様であると言われています。それは、まさに人が自然や他の生物達と共生してきた歴史と言えるのではないでしょうか。人の暮らしそのものが、生物が生きていける空間(ビオトープ)をつくりだし、維持されてきたのです。里山(雑木林)にみられる蘖(ひこばえ)と樹洞(うろ)、そしてそこで育まれる生物の多様性は、人が関わり続けることではじめて維持されてきた自然(二次的自然)なのです。

クヌギの巨木(香川県仁尾町)

クヌギの巨木(香川県仁尾町)

今、人が自然に関わることが極端に減ってきました。結果、里山や水田や森(人工林)が荒れています。古代より自然と関わり続けてきた日本人としての共生の自然観を今、もう一度身近に取り戻す必要があるのではないでしょうか・・・。

ShopMasterのひとりごと
蘖(ひこばえ)

http://sugakun.exblog.jp/10217366/

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