旬のコラム
有機の村の春。
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この季節の旬な話題と言うと食べ物の話題が事欠かないのだろう。
春野菜などと言うコトバの響きだけで嬉しくなってしまうものだ。
近くのスーパーの野菜売り場に行くと最近では当たり前のように生産地の名前がポップに書いてある。
どうやらトレーサビリティはごく自然な形態となってきたようだ。
さて僕にとってこの季節の「旬」は匂いと言うことになるだろうか。
歩いているときに山の方からふと風が運んでくれる木の芽の匂い。
独特の香りはなにかしら艶めかしくもあり、遠い昔を思い起こさせてくれる。
野ではそろそろ今年の田んぼ作りの作業が始まって、トラクターの乾いた音が山間に響き渡る。
やはり野を渡る風がその起こした土の匂いを運んでくれる。
それは暖かく包み込んでくれるような柔らかな匂いだ。
春の陽光に煌めく眩しい川面からは緩んだ川の匂いが運ばれる。
瀬の飛沫は酸素を孕んで鼻腔をも爽やかにさせてくれるようだ。
時折、新しく育った石苔の匂いも一緒に運ばれ今年の鮎漁はどうだろうと案じたりする。
家に猫の額ほどの畑があり、そこに生えている菜の花の薹を摘んできてパスタを作り休日の軽い午餐にしたりすることが僕の小さな旬だったりする。
もうしばらくすると、村で有機野菜作りに勤しむAさんのアスパラガスが届く頃だ。
アスパラは朝採っても夕刻にはまた収穫できると言うくらい成長の早い食べ物だ。
茹で上げたものに粗塩を振ったり、自家製のマヨネーズをつけて噛むとそれだけで充分酒の肴に足りるのだ。
小さな村の旬は、それはそれで結構楽しめたりするのだ。





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