興味津々

興味津々・No.058

2009年04月30日 木曜日
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豚

メキシコを起点とする新型インフルエンザは、豚から人への感染を超えて、人から人へと感染を広げるようになり、WHO(世界保健機関)は、大流行の警戒水準を「フェーズ4」から「フェーズ5」へと引き上げた。「フェーズ5」は、世界的大流行(パンデミック)の一歩手前を意味する警戒水準である。またこのことは、豚インフルエンザが、新しいインフルエンザウイルスに変異したことを意味している▼これまで日本では、豚からH1N1型ウイルスが発見されたことはあるが、そのウイルスが人から検出されたことはない。したがって、今回の新しいウイルスに対して、われわれは免疫力がなく、もしそれが国内で広がると、かつてのスペイン風邪のように、大流行する可能性が高い▼ウイルスということでは、エイズも、ここ20数年の間に登場した新型ウイルスの一種である。すでに地球全体で3,950万人以上が感染している。天然痘やペストは、高原を行く商人のキャラバン隊と一緒に、シルクロードを通じてヨーロッパへと拡大した。また、ローマへの道はマラリア伝播の道でもあった▼13世紀のハンセン病、14世紀のペスト、16世紀の梅毒、17~18世紀の天然痘と発疹チフス、19世紀のコレラと結核、20世紀のスペイン風邪、エイズ、SARS、鳥インフルエンザウイルスによるH5N1(家禽ペスト)など、新しいウイルスが発見されるたびに人類は、手痛い被害を受け、それを克服してきた▼中国でSARSが起こったとき、交通の発展によって地球は狭くなり、新型ウイルスは国内にとどまることなく、われわれは、それがすぐに国外にまで広がることを身を持って知った。恐いのは、インフルエンザウイルスは、鳥から鳥へ、鳥から豚へ、豚から人へと、偶然が偶然を重ねて行くうちに、突然変異が起こり、予想もしなかったことが起り得ることである▼スペイン風邪が流行したとき、アメリカの少女たちによって歌われた、わらべ歌がある。「わたしの小鳥の名前はエンザ、窓をあけたら、エンザが飛び込んできた、in-flew-Enza」。まことに不気味この上ない▼インフルエンザウイルスは、渡り鳥が運び手となって広域に伝播されるが、これが鳥にのみ感染するウイルスであるなら、それは鳥インフルエンザに過ぎず、感染することはない。そもそもそれは、鳥と人間の蛋白質鍵構造が違うからである。しかし、それが突然変異によって新型ウイルスに変わり、人に感染し、人から人へと感染すると怖いことになる▼今回の豚の場合は、鳥の細胞が持つ蛋白質鍵構造と、ヒトが持つ蛋白質鍵構造の双方を持っているため、もし中間宿主として豚に感染すると、豚の中で選択的に鳥蛋白質鍵構造とヒト蛋白質鍵構造を持つウイルスが突然変異して、発生し易くなるといわれている▼恐いのは、この新型インフルエンザが東南アジアに広がり、鳥インフルエンザと混ざり合い、強毒性のものに変異することである。今回の新型ウイルスは、そのようなものとして人類に登場した可能性が濃厚とされている。

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