興味津々
興味津々・No.057
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レイチェル・カーソンの『沈黙の春』は、春が来ても、鳥も鳴かずミツバチの羽音も聞こえない沈黙した春を迎えるかも知れない、という寓話で始まる。それは化学物質による環境汚染への、最初の警告の書だった。「なべての蕾 花とひらく」のが春だと、ハイネは歌った。その春が沈黙するというのだから、その衝撃は大きかった▼彼女が指摘したことが、ミツバチをめぐって、今、世界中で現実のこととなっている。昨年の春、アメリカの多くの州で突然ミツバチが姿を消し、野菜や果物を受粉に頼る農家は大きな打撃を受け、この被害はヨーロッパや日本にも広がっている。▼この問題を取り上げた本が発行された。『ハチはなぜ大量死したのか』(ローワン・ジェイコブセン・著/中里京子・翻訳/文藝春秋・発行)である。消えたミツバチの数は、2007年の春までにアメリカで300億匹以上、ヨーロッパでは4割にのぼり、北半球のミツバチの4分の1に達する▼しかもそれは、単なる死滅ではなく、ミツバチがどこかへと失踪し、養蜂家の巣箱が空になってしまうというのだから不可解で不気味である。巣箱という巣箱を開けても働きバチがいなくなり、残されたのは女王バチとそして大量のハチミツ。この謎の失踪、あるいは集団死は、やがて果実の受粉を移動養蜂にたよる農業に大打撃を与えることになるのだが、この原因は何なのか。携帯電話の電磁波によるのか? 謎のウイルスによるのか? 農薬が原因なのか? この本は、われわれがあり得る、と考える原因を追求する▼【目次】は、ハチが消えた/あなたのその朝食は/集団としての知性/何かがおかしい/犯人を追う/夢の農薬/おかされた巣箱を見る/人間の経済に組み込まれた/複合汚染/ロシアのミツバチは「復元力」をもつ/もし世界に花がなかったら?/実りなき秋/初霜と続く▼訳者はあとがきで、本書で語られていない日本ミツバチのこと、また福岡伸一氏による解説では、いま問題になっている蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder=CCD)と狂牛病との類似点について述べられている。本書は、単にハチの奇病についてのミステリアスなレポートというより、人類とは何かについて、根源的に問う本となっている。
特集
玄界灘に浮かぶ対馬に、古代の森と、今の森を見に行く その二
http://www.bionet.jp/2009/04/tsushima02/
特選ブログ
ミツバチのささやき
http://www.bionet.jp/category/tokusen/mitsubachi/






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