興味津々

興味津々・No.056

2009年04月20日 月曜日

障子春の季語に「春障子」がある。冬は雪見障子で、春は春障子。雪見障子は、障子の作りそのものが違うけれど、春障子は、ふだん用いている障子を、あえてというか、殊更に「春障子」とよんでいる。これはきわめて日本的なことで、早いはなし、欧米に「春ドア」などということはないのである▼春になって太陽の光がつよくなり、障子の色があかるさを増す。その白さは和紙独得のものがあって、まるで陶の艶を思わせる。夕方になると、光は微妙に変化する。庭に桃の花が咲いていたりすると、障子までが桃色に染まったように思えるから不思議である。実際には赤みを増すだけなのに、そう思えてしまうのである▼障子については、「びお」の「設計のみつくろい」で、和風建築の設計名人・吉村篤一さんが、実に丁寧に、要を得た紹介をされている。ご自身の設計による作例も写真で紹介されていて、障子が持つ魅力にあらためて目をひらかれた▼冒頭、吉村さんは「和室のデザインの良しあしは障子の意匠によって決まる」と言われていて、「モダン住宅の先駆者といわれる建築家たちも、障子を好んで採用した人も多かったようだ。こういった椅子やテーブルを使用する部屋においても、障子を使用する場合はその桟の割付や見つけ寸法によって、その部屋のデザインの良しあしが決ってしまうことが多い」と、はなしは及ぶ▼ここを読みながら吉村順三の障子を思い出し、永田昌民の最新の仕事(出雲の住宅)の障子を頭に描いた。なるほどそういうことなんだ、と肺腑におちる▼吉村篤一さんは、続いて障子の歴史へと進み、「光を通すが視線を遮る「障子」という建具は、古くは「明障子」といわれ、わが国では平安時代の末期から見られるようになった」ことをあげる。「明障子」とは、また何てきれいな言葉かと思った。「春障子」は、明障子あったればこそのものである▼障子の「障」は、障害、障壁というように、物を隔てることをいう。「子」は、扇子、杓子など、小さな道具をいう。つまり障子とは「物を隔てる小さな道具」をいうのだが、最近では断熱性能の高さを評価する声も大きい▼夏場、ガラス窓だけと比べると、直射日光の日射熱を1/2に減少させてくれる。冬場は、窓ガラスからの熱損失を抑えてくれる。ガラス窓1枚だと約4割の熱が失われるが、障子を立てると熱損失はその約1/2に減少する▼障子は、桟に薄い紙が一枚貼ってあるだけだが、桟があることでそこに静止空気が生まれ、断熱性能が高くなる。さらに、障子とガラス戸の間に、密閉された空気層ができて断熱効果が高まるのである▼まずは、こころゆくまで春障子をたのしみたい。

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  1. 副編サヅカさんからのコメント

    2009/5/13(水)15:15

    takaiさん

    コメントありがとうございます。ご愛用ありがとうございます。
    春夏秋冬があるだけでも日本は豊かですが、びおで追いかけている「七十二候」までいくと、また違った深さがあります。今後もご期待に添えるようがんばります。

  2. takaiさんからのコメント

    2009/5/1(金)01:11

    なるほどね、同じ障子を、ことさらに春障子というのは日本だけ、というのは納得だね。西洋のドアを、春ドアと呼ぶわけないしね。いい点、ついてます。このサイトには、気づきがあって、だから愛用しています。

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