特集

もっと太陽熱を!

2009年02月04日 水曜日

太陽エネルギー利用は「用途」が問題?


パソコンには「電気」が必要だが、生活に使うエネルギーの7割は、電気を使わなくても済む「熱」である。

教えて一度、益子先生にお話をお聞きしたいですね。

ぜひ、ぜひ。脇道にそれないで、話を戻しますね(笑い) 。
わたしは、電気に変換することを否定するものではありません。電気は、とても高度なエネルギーで、パソコンの普及一つとっても、これから、もっと必要とされるエネルギーです。けれども、電気エネルギーだけで全部まかなおうとする発想法はいただけません。先に述べたように、電気が途絶えたら、それでアウトなのですから。

教えて実際問題として、消費者はエネルギー問題の「蚊帳の外」に置かれていて、よく分らないというのが現実です。

これまでエネルギーは、石油産業や原子力関係者など、主として供給側(産業側)から語られてきました。利用者は消費する側に一方的に立たされ、立ち入る余地が与えられずにきたのがエネルギー問題です。供給側が情報の一切を握り、その真相はしばしば秘密のベールに包まれてきました。

教えて安全性とか、テロ組織に情報が流れてはいけないということで、非公開が目立ちますよね。

現代社会は、エネルギーを支配するものが一番強いと考えられ、それは戦争の火種になり、そのことによって悲惨な現実が惹起されています。確かに、人類はエネルギーなしで生きることはできません。
  ただ、分かっておきたいことは、我々は別に石油を飲みたいわけでも、危険な原子力が好きなわけでもないということです。まして、その支配のために戦争が起こることなど望んでいません。

教えてそりゃあそうですよ。

消費者はそこで居直ればいいのです。欲しいのは石油ではなく暖房であり、冷房であり、給湯であり、パソコンを使えることだと。
もう一つ分っておきたいのは、パソコンに必要なエネルギーを除いては、どれも低レベルなエネルギーだということです。暖房は20℃〜25℃あればよく、冷房は外気温より5℃程度低ければ快適であり、給湯にしても40℃〜50℃あればいいのです。しかも、それらはゼロからではなく、太陽エネルギーによって引き上げられ、また、太陽エネルギーの変種である風によって冷やされた熱の上に、少し足したり引いたりして利用しているだけのものです。

教えてこれらの熱エネルギーが、家庭用エネルギーの大半を占めているとか?

ほぼ7割を占めています。これらの低レベルなエネルギーは、わざわざ太陽光発電して使わなくても、もっとダイレクトに使えます。このような考え方を「エンド・ユース・アプローチ(End Use Approach)」といいます。

教えて最終的な用途の側からエネルギーを考える、と理解すればいいのかしら?

ご名答。自分は、どういうエネルギーを必要としているのか、どういう用途に用いるかをハッキリさせると、エネルギーの性格が見えてきます。IT機器が普及して、高度な電気エネルギーの必要が高まっていることは確かです。テレビや冷蔵庫、照明などの熱源も、電気エネルギーが必要です。煮炊きに、薪や炭を利用する手もありますが、まあ都市(またはLP)ガスか、電磁調理器を利用する人が少なくありません。しかし、暖房や冷房、給湯まで、すべて電気エネルギーでなければいけないかというと、そうはいえません。

教えてそれらは太陽熱で行けるのではないかと。

そうです。太陽熱だけでなく、風の利用があり、バイオマス・エネルギーがあり、樹木による蒸散熱利用もあります。これら再生エネルギーの利用を高めると、すべて太陽光発電にして電気に変換しなくても、相当までやれることが分かってきます。過度に電気エネルギーを用いなくても、バランスよく、緩やかなエネルギー利用が可能となるのです。それを分かることが大事です。

教えて太陽光発電は、太陽電池の製造に要するエネルギーも掛かりますしね。

そうです。それだけでなく、送電線によるロスもあります。それでも現代生活は、電気エネルギーに頼らざるを得ない側面を持っています。それを無視しても通れません。家庭用エネルギーの中で3割程度は電気エネルギーを必要としており、その分を太陽光発電すればいいのです。それ以上、発電できれば売電すればいいわけだけど、光発電の固定価格制が採られていない日本では、コスト・パフォーマンスが悪いので、その家庭が必要とする電気エネルギーの量だけ発電するのが現実的です。

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