特集

もっと太陽熱を!

2009年02月04日 水曜日

電気に変換するだけでいいのだろうか?

教えてほんと、太陽光発電ばかりが強調されていますよね?

太陽熱はどこに行った、という感じです。太陽熱に取り組む側のパワー不足もありますが、太陽エネルギーが持つ根源的な力を、最も素直に表現できる太陽熱に、もっと目が向けられるべきです。
太陽熱利用は、最も古くから用いられてきた太陽エネルギーの利用形態であり、どこでも誰でもエネルギーを熱に変換するのが容易です。エネルギーを高効率に利用する光発電に行く前に、日常の生活の中に太陽熱を取り戻すべきです。
太陽熱技術を進めるメンバーは、何で、太陽エネルギーを電気に変換することだけでいいのか、と言えないのか。そこを衝けば、太陽熱の有効性がもっと浮かび上がってくるというのに。

教えて太陽光発電の難点は何ですか?

電気は送電線を必要とするということです。太陽光で発電して、送電線なしで電気を利用する自立的・分散的なやり方があり、それが実は現実的なのに、電力会社はもちろん、日本の政治も行政も送電を前提にしていて、集中型形態と利用を是としています。ということは、地震や何かで送電線(ライン)に支障が生じると、末端がアウトになることが起り得るのです。

教えてライフラインの断絶ね。

そう。阪神淡路大震災で、須磨の水族館の魚が大量に亡くなりましたが、あのとき水槽が壊れたわけではありませんでした。電気が止まって酸素が送られなくなっての惨事でした。
地震で電気が止まると、マンションではエレベーターが止まります。超高層マンションではエレベーターに閉じ込められる人が発生し、「超高層難民」が出ます。調理器も何もかも「オール電化」が進んでいるということは、そのすべてが使えないということです。お湯も沸かせませんし、暖も採れません。すべてを電力会社の送電に頼っていると、そこが途絶すると、すべての機能を失います。それが電気の持つ危うさです。
もう一つ電気で思い出すエピソードは、もうかなり昔の話になるけれど、湾岸戦争の時、日本のクウェート大使館で起った事件です。あの時、電気が止められて冷房が作動せず、中にいた大使館員は死の苦しみを味わいました。ガラス張りの建物で、冷房がないと大変なことになるのは明らかなことだけど。

教えて何でクウェートで、あんなガラス張りの建物を建てたのかしら?

考えてみると、あのあたりは数千年来、チグリス・ユーフラテス文明の時代から人は居住してきたのであって、冷房なんてものはここ数十年来のものです。あの時、マスコミは救出劇に追われて、そのことをどこも指摘しなかったけど、ほかならぬ産油国で起ったあの事件の本質に迫り切れなかった弱さは、日本そのものの底の浅さというか、根本的な弱さになっています。
その後、東京藝術大学の益子義弘研究室がイラン調査隊を組織して、ペルシャの土の家を、熱的性能を含め、いろいろな角度から掘り下げられ、一冊の本(百の知恵双書『湖上の家、土中の家』農文協・刊)にまとめられましたが、土の居住文化の知恵を理解していたら、あんなバカなことにはならなかったと思います。日干し煉瓦が持つ材質性、空気が持つ物理的性質、水の効用など、実に豊かな居住文化が、あのあたりにはあったのです。木が乏しいので、床に極上の布、ペルシャじゅうたんを用いたのもステキでしたが……。益子調査隊は、ペルーのチチカカ湖の湖上の家や、スペイン、ベトナムの家も調査していますが。

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