興味津々
興味津々・No.043
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昨年から、各地で自主上映され評判を呼んでいる映画に『おいしいコーヒーの真実』というドキュメンタリー映画がある。この映画は、マーク・フランシスとニック・フランシス兄弟によって2006年に制作された▼映画は、コーヒーのプロによるティスティング(味利き)の場面から始まる。そこで最良のコーヒーとして選ばれたのが、エチオピアのモカ種ハラー地区の豆だった。映画は、この豆の生産地であるエチオピア・ハラー地区に飛ぶ。そこに登場する農民は、コーヒーをつくる過酷な労働によって、かろうじて生計を立てていることが映し出される▼全世界の1日あたりの消費量は約20億杯にもなるが、大手企業がコーヒー市場を支配している。コーヒーは、石油に次ぐ取引規模を持っており、人々は「おいしいコーヒー」にお金を払い続けているが、コーヒー農家に支払われる代価は低く、多くの農民が困窮している▼農場から集められた豆は、手で選別が行われ、形の悪いものは取り除かれる。この選別には女性が従事し、一日の賃金はわずか0.5ドルにしかならない。そこで登場するのが、貧困に苦しむコーヒー農家を救うため奮闘するオロミア州コーヒー農協連合会の代表タデッセ・メスケラさんである▼映画は、公正な取引(フェアトレード)を求めて世界中を飛び回る彼の行動を追うことで、年間800億以上の利益をはじき出す陰で深刻な飢餓に苦しむ農民がいることの矛盾を描き出す。1杯のコーヒーを通して、地球の裏側の人々の生活と世界の現実を描き出したところに、この映画の功績がある▼エチオピアは、毎年700万人が緊急食糧援助を受けている。けれども、アフリカの輸出シェアが、わずか1パーセント増えるだけで、年700億ドルが生まれる。この金額は、アフリカ全体が現在受け取っている援助額の5倍に相当する。彼らに必要なのは、援助ではなく自立を支援するためのプログラムである。そのことを、この映画は静かに訴えている▼このような問題は、コーヒーに尽きることではなく、小麦やトウモロコシなどにも通じていて、日本の食糧生産の現場においても、価格決定権はほとんど大手流通と、もっと大きな穀物市場に握られており、いうところの市場原理によって決められている。これに対抗する手段は、市場をイチバに読み換えた、真のフェアトレードを市民の手で実現するしかないのではなかろうか。インターネットの可能性を、そこに求めたい▼作家の池澤夏樹が、この映画に「カップ一杯の愉楽の中に、世界経済の不合理が混入している。コーヒーを育てる農民たちがなぜ普通に暮らせないのか? そう問いながら、それにしてもエチオピアの風景はあまりに美しいと思う」というコメントを寄せている▼この映画は、南北問題として横たわるフェアトレードを描いた映画というだけでなく、映像として、今まで見たことのないアフリカが映し出されているのである。






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