興味津々

興味津々・No.038

2009年01月20日 火曜日

たわし明日(21日)オバマがアメリカ合衆国大統領に就任する。史上最大規模の就任式が予想されている。期待は大きい。殊に「グリーン・ニューディール」政策による、環境と雇用の創出に注目が寄せられている。そこでここ10数年のアメリカについて振り返っておきたい▶1990年代中頃から、いわゆるグローバリズム(globalism)が世界を席巻した。グローバリズムとは、「地球を大きく宇宙次元でとらえ、地上の出来事を、計画をたてて観察する巨視的な方法」をいうが、事実はアメリカ一国行動主義(ユニラテラリズム)によって終始し、その破綻によって終息をみたのが「グローバリズム」である▶グローバリズムがいわれたとき、ソヴェト連邦が崩壊していて、アメリカはローマ帝国以来の巨大な国家になっていた。この間、大統領を務めたジョージ・ブッシュは、アメリカの有史以来の「帝王的大統領」と呼ばれた。殊に9・11の同時多発テロ後、帝国(帝国が戦争を行い、戦いが帝国の「正義」を支える覇権的国家)へと向かうアメリカの力は度外れていた。このアメリカの比類なきパワーを、フランスのユベール・ドビルパン外相(当時)は「ハイパーパワー」(度を越したパワー)と名づけた▶ブッシュを支えたのは、国防・軍需産業や、石油支配を目論むメジャーと、その政治的代理人の新保守主義者(ネオ・コンサーバティブ)たちだった。彼らは自分たちを「正義」と置いた上で、ならず者の「やつら」の上に落ちる爆弾は、たまには誤爆もあるさと言い放ち、「民間人の犠牲者にこれほど配慮した戦争はない」(アフガン爆撃に関してのラムズフェルド国防長官の見解)と嘯いた▶イラクに対しては、大量破壊兵器の疑惑を騒ぎ立て、見つかったら見つかったで攻撃する。見つからなければないで「隠した」と言い掛かりをつける。いずれにしても攻撃ありきだった。現場は、ため息がでるほど深刻だったのに▶ブッシュは、環境問題においてもアメリカ一国行動主義を押し通した。アメリカは、世界最大のCO2排出国であるのに、京都議定書から離脱し、その合意の形成を妨害し、自国の経済優先を貫いた。身勝手も、恥も外聞も、何も気づかず、何も耳に入らなかった▶確かに、1990年代初頭のアメリカ経済は光り輝いていた。ヴェトナム戦争の後遺症からようやく抜け出し、東側の自壊によって冷戦が終結し、経済に専念できる状態が長期間続いた。情報通信革命を原動力にした、インフレなき、長期にわたる経済成長は、失業率を減少させ、ニューヨークから犯罪を放逐した▶アメリカ人の、世界や歴史に対する関心は薄れ、国民の43%が株式を所有、掃除婦さえも株価の行方に一喜一憂する日々が続いた。その時、掃除婦の彼女は、汚れたビルを清掃するよりも、口笛吹いてオーナーを気取り、投資家としての明日を夢みていたのである。そこに降って湧いたように、9・11同時多発テロが起こった。ブッシュは、集団ヒステリー的を醸成させ、アフガン攻撃を開始し、雨あられと爆弾を落としたものの、ビンラディンを捕捉出来なかった。彼との関係証拠を示すことなく、今度はイラクを侵略した▶当時、ハリウッドのスーザン・サランドンという、大きな目が印象的な女優さんが、こんな発言をした。「どうして今攻撃なの。今戦争しなければならない理由が分からない。それに大量破壊兵器を大量破壊兵器で破壊するなんて、とても奇妙な方程式よ。9・11への悲しい思いを、何だか政府の思惑でハイジャックされちゃたみたいね」▶アメリカ史を紐解くと、強権的なアメリカと、協調的なアメリカは、時計の振り子のように行ったり来たりしている。第二次大戦以降を取り出してみても、トルーマン・ドクトリンに代表されるソ連との対決姿勢と、マッカーシズムに明け暮れた50年代があるかと思えば、ジョン・F・ケネディ(当時43歳)を大統領に選んだのもアメリカであった▶かつてアメリカを築いてきた指導者たちには、協調的であれ強権的であれ、自分たちの利益だけでなく、すべての人のことを考える「ノブレス・オブリージュ(高い身分に伴う義務)」という考え方があった。しかし、ブッシュはこのアメリカの伝統を粉々にしてしまった▶オバマの登場によって、アメリカがどう変わるのか注目したい。

この記事をTwitterでつぶやく  このエントリをはてなブックマークに追加 このエントリをdel.icio.usに追加 このエントリをLivedoor Clipに追加 このエントリをYahoo!ブックマークに追加 このエントリをFC2ブックマークに追加 このエントリをNifty Clipに追加

コメント・トラックバック

この記事へのトラックバックURL :

この記事へのコメントRSS

コメントはこちらから!

コメント

以下の記事もどうぞ
  • 興味津々・No.049

    今、アメリカでネガティブ・エクイティが話題になっている。ネガティブ・エクイティとは、住宅を売却しても住宅ローンを完済できない人のことをいう。
    2009.3.16
    kyomi049
  • 興味津々・No.010

    アメリカの民主党大統領候補にバラック・オバマが選ばれた。黒人発の大統領候補である。この候補を得たことで、この国はホイットマンの国に戻れるのだろうか。
    2008.9.2
    kyomi010
  • 興味津々・No.034

    宇宙船倫理を最初に提案したのはフラーである。地球を、漆黒の宇宙に浮かぶ船にたとえて、その船は「内部に内的維持システムを持っているが、そのシステム自体は有限で閉鎖…
    2009.1.1
    kyomi034

町の工務店ネット町の工務店ネット

住まいネット新聞「びお」は、
町の工務店ネットがお届けしています。

最近の記事

記事を探す

月別

カテゴリー別

タグ別

ツイッターtwitter

びおの関連・関心を
タイムリーにつぶやきます!

現代町家現代町家

その家は、前を通る人の家でもある。


ページトップ