興味津々

興味津々・No.037

2009年01月15日 木曜日
Share on Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 興味津々・No.037

椅子びおの七十二候は、開始から三十七候を数える。筆者は半年間続けてみて、季節と自然の巡りに敏感になったという▶二十四節気も七十二候も、季節と自然の軌跡に沿っており、それは〈旬〉となって、日本の食卓に恵みをもたらしてくれた。~サクラが咲くと鯛がおいしい。~新緑が深くなると鰹がやってくる。~太陽がギラギラするようになるとスイカが甘くなる。~初冬の雷鳴が富山湾に轟くと、かならずブリがやってくる▶この〈旬〉の巡りが、日本人独得の季節感を育ててくれたのである▶しかし、現代生活は〈旬〉のある生活を急速に失っていて、ほんらい夏の食べ物である、キュウリやナス、トマトやピーマン、オクラは、いつでもマーケットの店先を飾り、冬にも食べられるようになった。化石燃料の力に依存した暮らしは地球に負荷を掛けており、またそうしてつくられるものは、おいしくなく、ほんらいの栄養素も失われている。それによって、暮らしから季節感が失われ、生活に句読点が打たれなくなった▶現代日本人の生活サイクルは、一週間単位で動いている。これは世界共通のルールなので、これを否定するつもりはないが、このサイクルは経済活動にとっては有効であっても、自然を享受する生活のサイクルからみると、もう一つの時間軸があっていいのではないかと思われる。少なくとも日本においては。それが日本の〈旬〉である▶かつて日本の農業には〈農事暦〉があった。そのとき、農民たちは自然の変調に敏感だった。信州安曇野の人は蝶ヶ岳の残雪の模様を見て、その年の作付の日などを決めた。自然の動きに敏感になり、その摂理にしたがうことで、農業を成り立たせていたのである▶〈旬〉がいいのは、まず味がいいことである。真っ赤なトマトは夏の味であって、石油漬けのビニールハウスで育てられたトマトとは、確実に味が違う。あるレストランで正月にスイカを食べたが、夏のスイカの甘さと比べると、ほど遠いものだった。蔬菜の〈旬〉は、収穫量の多い出盛り期である。魚の〈旬〉は生殖期直前の脂の乗った時期である。共に味の最もよい時期である▶そして出盛り期ということは、ここが大事なのだが、よく市場に出回るため値段も比較的安価であることだ。昨秋、出盛り期の秋刀魚を炭火で焼いて食べたが、堪えられないほど美味だった。秋刀魚がこんなにおいしい魚だったのかと再認識したが、昨秋の秋刀魚は豊漁で、値段も安かった▶もうすぐ筍の季節がやってくる。まだ随分先のことなのに、とスタッフに思われているが、この待ち遠しさが、つまり〈旬〉のたのしさなのである。待つたのしさを忘れ、何事も性急になっているから、こころが荒れるのではなかろうか。

コメント・トラックバック

この記事へのトラックバックURL :

この記事へのコメントRSS

コメントはこちらから!

コメント

以下の記事もどうぞ
  • 興味津々・No.067

    雨の季節をむかえると、日本の住まいの軒(のき)の長さがうれしい。雨宿りするのにいい、ということもあるが、窓を開けておいて、そぼ降る雨を愉しむ、ということもある。…
    2009.6.17
    kyomi067
  • 興味津々・No.039

    前回の更新に、日本で50年住宅ローンがこの春にも開始されるということで、ドイツの100年ローンについて触れられていた。
    2009.1.27
    kyomi039
  • 興味津々・No.001

    今の世の中、危険の種は尽きない。この春、中国の水泳選手がドーピング違反で永久出場停止になった。地元に戻ってバーベキューをしたときに食べた豚肉が原因とされる。
    2008.7.20
    kyomi001
no01-2_umegochitop

立春といわれても、まだ冬だよ、といわれる寒波がこの列島を襲っています。けれど、日脚を見ると一日一日伸びていて、木々を見ると芽吹いていて、なるほど立春なのだ、春は立っているのだと思います。

町の工務店ネット町の工務店ネット

住まいネット新聞「びお」は、
町の工務店ネットがお届けしています。

最近の記事

記事を探す

月別

カテゴリー別

タグ別

現代町家

ツイッターtwitter

びおの関連・関心を
タイムリーにつぶやきます!

現代町家現代町家

その家は、前を通る人の家でもある。


ページトップ