興味津々

興味津々・No.032

2008年12月22日 月曜日

七輪季刊誌『住む』冬(28号)が〈ごみ〉を小特集している。小特集というものの、どうして内容は濃く、ごみにちなむ話が総合されていて、読み応え満点である▼この小特集の中で紹介されている、全国解体工事団体連合会の調査結果「木造住宅の解体ゴミの内訳(重量)」を、建築関係者は注目すべきである。解体された建物から出るゴミの47.45%はがれき類が占めている。その大半はコンクリート塊であろう。コンクリート塊と共に多いのは木屑で、20.48%である▼木屑は、燃料チップや木質ボード、段ボールなどの原料になる。コンクリート塊も、道路舗装材やリサイクルコンクリートに再利用可能だが、採算が合わないため、大半が廃棄されている。同誌は「捨てなければ、ごみじゃない」と言うが、ゴミとして捨てられる代表がコンクリート塊である▼これまでは、その年のコンクリート使用量の10分の1程度しか発生していなかったが、将来的にはこれが飛躍的に増大することが予想されている。たとえば、関東大震災級の地震が起こった場合、膨大なコンクリート塊が発生する。そうした事態が起こらない場合であっても、日本開発銀行の試算によれば、2010年には2002年の3倍、2億tを超えるだろうと予測されており、将来、その10倍の20億tに達するという恐ろしい試算が出ている▼最近の住宅は、基礎工事に力を入れ、ベタ基礎など、コンクリート使用量が増えており、百年コンクリートなど技術も進化している。建物を解体すると、この(良質な)コンクリート塊が発生するのである。耐震・耐久性を高めれば高めるほど、それを解体した場合のゴミの量は増えるのである▼住まいは、暮らしの用に応えられなくなると朽ちるわけで、いくら丈夫な家であっても、設計の見通しが悪いと、家は使いものにならなくなる。性能評価はいいけれど、そこが伴わないと200年住宅も何もあったものではない▼ゴミは、中世までは問題にならなかった。発生したゴミは、堆肥、埋め隠し、焼却、家畜への飼料とかによって消し去ることが出来たからである。ところが、資本主義が勃興し、鉄やコンクリートが大量に利用されるようになって、このリサイクルは寸断されるようになった▼近世時代に入ると、日本の江戸期の特殊なあり方を除いては、ゴミと糞便が都市を覆い尽くすようになる。つい200年前まで、ゴミは通りに直接捨てられていた。疑う人は、『ガリヴァー旅行記』や、フリードリッヒ・エンゲルスの『イギリスにおける労働者階級の状態』を読むがいい▼19世紀に入って、衛生学者たちがゴミと垂れ流される糞便に関心を寄せるようになり、フランスセーヌ県知事のプベルがゴミを入れるバケツ(フランス語でゴミ箱はプベルという)を、街のそこここに置くようになった。つまり、プベルは行政当局がゴミの収集を引き受けることを思い立ったのである▼近代に入って工業化が進み、消費時代に突入して「生産→消費→廃棄」のサイクルに目が向けられるようになり、現代に入って、ゴミ処理によってリサイクル可能なことが分かり、新たな産業として登場することになる▼それは核廃棄物というような、どうしょうもないゴミにも言えていて、その廃棄のための汚染除去費用と人員は、核の正否は別にして、現実問題、それを生む費用よりも増大することになった。ゴミ分別によるリサイクル材料、汚染浄化や廃棄物処理費用、環境関連技術の開発は、雇用面からも大きな比重を占めるようになったのである▼日本の建築に占める新築の比率は先進国の中で異例とされるほど高く、維持補修の比率が低い(約15%)のが特徴である。イギリスでは維持補修工事が50%に達する。既存住宅についてはイギリス並を目指すこと、新築については200年住宅にすることが、歴史的に必要不可欠な要件とされよう▼膨大に存在する不適格な既存住宅の行方と、これから建築されるものの寿命が、大きな意味を持ってくるのである。短サイクルで、それらが建設廃棄物に回ると、おそらくこの列島はパンクしてしまうことだろう。既存住宅をいかに使いまわすか、新築のものをいかに長寿命の建物にするかが問われている。

この記事をTwitterでつぶやく  このエントリをはてなブックマークに追加 このエントリをdel.icio.usに追加 このエントリをLivedoor Clipに追加 このエントリをYahoo!ブックマークに追加 このエントリをFC2ブックマークに追加 このエントリをNifty Clipに追加

コメント・トラックバック

この記事へのトラックバックURL :

この記事へのコメントRSS

コメントはこちらから!

コメント

以下の記事もどうぞ
  • 興味津々・No.048

    生ゴミを土に埋めておくと、いつの間にか消えている。汚水を川に流すと、これも知らぬ間にきれいになっている。
    2009.3.11
    kyomi048
  • 興味津々・No.013

    大阪と東京では、夏のセミの鳴き声が違うという。夜明けを待ち構えていたようにけたたましく鳴くのは同じだが、大阪のそれは「シャー・シャー・シャー」と鳴き、関東のそれ…
    2008.9.18
    kyomi013
  • 興味津々・No.019

    木はカーボン・ニュートラルとされる。薪などで燃焼しても、石油や石炭のようにCO2としてカウントされない。
    2008.10.18
    kyomi019

町の工務店ネット町の工務店ネット

住まいネット新聞「びお」は、
町の工務店ネットがお届けしています。

最近の記事

記事を探す

月別

カテゴリー別

タグ別

ツイッターtwitter

びおの関連・関心を
タイムリーにつぶやきます!

現代町家現代町家

その家は、前を通る人の家でもある。


ページトップ