伊礼智の実測スケッチ
連載開始にあたって
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実測スケッチ(メモ)を描こう!
旅に出るときスケッチブックと絵の具セットを必ずバッグの中に入れます。
スケッチブックを開くときもあれば1枚も描かないときもあります。

最近のデジタルカメラのように軽量小型で手軽に記録できるようになると、どうしてもそれで済ませてしまいがちです。
確かに時間がたっぷりあればゆったりした気分でスケッチを描いていられます。
ひとり旅なら、誰に気兼ねする事なく時間を自由に使えますが、それなりに歳を取ってくると様々な仲間と一緒に出かける事がほとんどです。
自分だけわがままを言っていられません。
いい風景だな、いい建物だなと思っても、写真を撮るのが精一杯というのが実情です。
時間がなくなってきた今、旅の風景を描くスケッチが少なくなってしまいました。
実際、風景画は描くのがしんどいのです。
たぶん、スケッチが得意でない人は描きながら嫌気がするかもしれませんね。
スケッチを大きく分けると風景画のようなスケッチ、言い換えると写真をなぞるようなものと、実測したメモ系に分けられるのではないかと思います。
実測は実測で隅から隅まで測らなければならないと思われているようでこちらの方が機械的で面倒だと思われる方も多いと思います。
風景を描くのも、実測も嫌だという事になりますか(笑)?
僕は最近、自分が知りたい寸法だけを実測してメモを取り、スケッチ風にまとめることにしています。
言い換えれば、いいなあと思ったディテールの絵を描いて、その後から知りたい寸法だけ実測してメモるわけです。
絵だと思うと、リアルに描かなければとプレッシャーを感じますが、メモだと思えば、少々形が違っていてもいいのです。
寸法を採ってあるので後でプロポーションは確認できるのですから、気が楽です(笑)。
スケッチ(メモ)は未来の宝箱となる
スケッチを続けている理由の一つに、スケッチというのはインプットでありながら、アウトプットでもあるということです。
数年前に「オキナワの家」(インデックス コミュニケーションズ)という小学生向けの建築の絵本を書きました。
その時、中学1年生のときの絵を挿絵として掲載しました。
その絵は木造とコンクリートが混沌とする風景の奥に嘉手納基地が見える、、、自分が育った当時の沖縄の風景をよく表していたのです。
水彩でありながら、印象派的な厚塗りの色の構成で表現されています。
その日は朝、屋根に登り、鉛筆でアウトラインを採り、室内に戻り、思い出しながら、丸1日、集中して描き上げました。
それが30年以上も経って、将来の自分の絵本に役立つ事になったのです。
もしかしたら、今、描いている実測スケッチも、将来、自分の助けとなるかも知れない。
そう思うと義務ではなくて楽しみとして、スケッチが描けるようになる気がします。
「実測スケッチ」が旅の思い出を超えて、日々の設計の仕事の中で着実に生きてくると思えるのです。
そう信じていれば、スケッチブックは未来の宝箱となるでしょう。

1959年、沖縄県生まれ。建築家。琉球大学理工学部卒業後、東京藝術大学美術学部建築科大学院修了。丸谷博男+エーアンドエーを経て、1996年伊礼智設計室を設立。2004年より「東京町家」を東京の工務店3社と展開。現在、工務店ネットワークの主催で設計セミナーも実施。2006年「9坪の家」、2007年「町角の家」でエコビルド賞。住まいネット新聞「びお」にて特撰ブログ掲載中。








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