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【緊急特集】200年住宅って何なの?

2008年11月22日 土曜日
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200年住宅って何なの?

速報

26日付、日本経済新聞の朝刊に、政府が09年度税制改正で検討している住宅ローン減税に関して報道がありした。それによると、200年住宅が、今度の住宅ローン減税の最優遇の対象と考えられています。
それによりますと、200年住宅を購入した個人を対象に、この住宅ローン減税では、所得税・住民税の控除額をこれまでの160万円から、過去最大の合計600万円に引き上げられます。控除期間は10年間です。最大幅の600万円は、住宅ローンの借入額が6000万円の場合ですので、実際の借入額を2000万〜3000万円とすると、毎年20万円〜30万円の減税となります。10年間ですので200〜300万円です。これに新築時の超長期住宅モデル事業補助金200万円(最大)を加えると400万円〜500万円得します。住宅減税しても、建てられる人は建てられるし、建てられない人は建てられません。この不況下、建てられる人は減っています。建てられる人にとっては、この減税は朗報です。
2008/11/26 追記

長期優良住宅促進法案、衆議院通過!!!

長期優良住宅促進法が、下記の修正点を以て、衆議院を通過しました。
大幅会期延長ということで、余程のことがない限り、参議院も通過し、成案される見通しとなりました。

修正案は、

  1. .住宅の建設における木材の使用に関する伝統的な技術を含めること。
  2. 長期優良住宅の普及を促進するために必要な人材の養成及び資質の向上に努めること。
  3. (採択されたところは)長期優良住宅の維持保全を適切に行うために必要な情報を提供すること。
  4. 国産材(国内で生産された木材をいう。以下同じ。)の適切な利用が確保されることにより我が国における森林の適正な整備及び保全が図られ、地球温暖化の防止及び循環型社会の形成に資することにかんがみ、国産材その他の木材を使用した長期優良住宅の普及が図られるよう配慮するものとすること。
  5. 良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮すること。
  6. 認定長期優良住宅の建築及び維持保全の状況に関する記録の作成及び保存を容易にするため、必要な援助を行うこと。

以上の6点です。
伝統的技術でも認定採択される道を開いたこと、国産材利用の促進を
より重視することを強調した内容となっています。
2008/11/27 追記

兵庫・箱木千年家(重要指定文化財)
兵庫・箱木千年家(重要指定文化財)

最初に言い訳

「びお」は、このところ住宅ネタが多くて、来月早々には「鍋特集」をレシピ付きで掲載しますので、ご容赦。
いろいろある「びお」を、どうぞ今後とも、ご愛読ください。

で、今回は、国交省が進めている200年住宅。
その具体的な施策である「超長期住宅先導的モデル事業」に、町の工務店ネットが共同申請していた4件すべてが採択されました。
当ネットとしては、パーフェクト達成でニコニコですが、そもそも「超長期住宅」って何? と疑問を持つ人がいます。

今回の特集は、単なる「超長期住宅」特集ではなく、この取り組みを、文化総体の中に位置づけようという、独自の視点、切り口で解読します。

「超長期住宅先導的モデル事業」まず、採択の結果を紹介します。

教えてまず、今回採択されたあらましについて述べてください。
(ニコニコしながら)今回、町の工務店ネットが4つ申請しましたが、その全部が採択されました。パーフェクトです。
今回の応募は、全部で325件(そのうち一件は取り下げ)の応募がありました。このうち4分の3の提案が新築でした。
住宅の新築部門では29件が選ばれ、このうち、町の工務店ネットが事業申請(共同提案)していた3つのすべてが採択されました。
町の工務店ネット本体が代表して事業申請(共同提案)して採択されたもの。
1.「近くの山の木で家をつくる会」
2.BeV Standard超長期住宅モデルプロジェクト
この2つの申請が、一括りにして採択されました。
また、スタンダードハウスの一つになっている、Ms建築設計事務所が代表し、町の工務店ネットが共同提案して採択されたもの。
3.「杉三層パネルを使った地域材民家の普及事業」
さらに、既存住宅等の改修部門で、住宅医ネットが代表して共同提案した、
4.木造建築病理学・「既存住宅ドック」システム
も採択されました。つごう、申請していた4つすべてが採択されました。この結果は、快挙といってよいでしょうね。

資料 平成20年度(第2回)超長期住宅先導的モデル事業の採択
http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000015.html
教えてそれは、おめでとうございます。でも、あまり有頂天にならないようにね。
ハイハイ、分かっています。大変なのはこれからですので。煩瑣な作業が山ほど待っています。
教えて業界は、この話題で持ち切りかも知れませんが、普通の人にはよく分からない話ですよね。大体、200年住宅という言葉、これって一体何ですか、キャッチフレーズですか? 
ウーム(返答に困る)。……そういう掛け声で始まったことは確かです。これを言い出したのは福田前首相でして、福田さんが総理大臣になる前に、自民党政務調査会の住宅土地調査会長としてまとめた「200年住宅ビジョン」が切っ掛けになっています。

資料 200年住宅ビジョン
自由民主党政務調査会 住宅土地調査会長 福田康夫
http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/seisaku-007.html

それで200年住宅と呼ばれているのですが、法案にされた「長期優良住宅促進法案」には、不思議なことに、この言葉は一言も出てきません。だから、話のすり替えではないか、という批判があることは確かです。
法案は、福田前首相の時に国会に上程されましたが、本人が政権を投げ出してしまい、その後の政治のゴタゴタの影響を受けて、実はまだ、国会で採決されていません。今年度の予算には入っているけれど、法案は未成立、今後5年間の継続事業といわれていますが、その行方は五里霧中の状態です。

生き永らえる家とは?

教えて日本の家は、スクラップ・アンド・ビルド(建てては壊す)と言われてきましたよね。フロー一辺倒というか。ストックを重視し、長持ちする家という考えはいいとして、でも200年住宅をいうのは、いくら何でも言い過ぎじゃないかしら。
実際に200年住宅は可能なのか、ということですよね。
「長期優良住宅」では、建物の基礎は、鉄筋コンクリートの補強を十分にすることが義務付けられていますが、その鉄筋コンクリート自体、1867年に始まったものです。フランスの植木鉢をつくる職人が、モルタルの中にたまたま針金を網状にいれたところ、ひび割れの少ない薄い丈夫な鉢ができたというのが、鉄筋コンクリートの始まりです。
つまり、140年程度の歴史しか持っていないのです。日本では、1890年(明治23年)の横浜港の岸壁工事に用いられたのが最初です。
また、強度が安定しているとされる集成材が実用化されたのは、1901年にドイツのトヘツッアルという大工さんが特許を取ったのが始まりです。日本では、1951年(昭和26年)に東京の森林記念館にアーチ材が用いられたのが最初です。
これらの技術に依らない画期的な工法が生まれたわけでもないのに、どうして200年住宅をいえるのか、と。
教えてそうよ、余程の自信家か、インチキのどちらかでなければ、口にできる話じゃないですよ。
まあ、200年住宅というのは、200年持つような住宅をつくろうという、一種の掛け声というか、願望というか、そんなものとして理解してください。
兵庫県に箱木(はこぎ)千年家という、国の重要文化財に選ばれた住宅があります。日本最古と推定される民家です。最近、この住宅を、放射性炭素年代測定を行って調べたところ、年輪の外側の炭素濃度から、1283〜1307年(鎌倉時代後期)に伐採された木であることが分かりました。箱木千年家の「母屋」は室町時代後期に建てられたもので、千年には達していません。千年生き永らえた家として畏敬を集めているのです。この家は、別名「寿永の無災の家」とも呼ばれています。天に風雨の憂いあり、人に不時の災難あり、というわけで、永く生き永らえる家は「無災」であることが大切だという話です。

教えてなるほどね、200年持つような家ですか。でも、実際にはハウスメーカーなんかは声高に「200年住宅」を宣伝するのでしょうね。
そういうことはあるかも知れません。現に日本やヨーロッパの古民家の写真を広告に載せて、その横に自分たちの住宅を載せて宣伝している例があります。その二つはロジックも何も繋がらず、まったく別のものなのに、あたかも一緒であるかのようなイメージをつくり出しています。煙が出ないのにチムニーのある家と宣伝したり、街中の団地に建つのにプレーリーハウス(草原の家)を言ってきたのと同じです。

教えて日本は長寿社会を迎えたというのに、自分が建てた家が、生きているうちに朽ちるのは、やはりさびしいですよね。出来れば、頑張ってローンも払ったんだし、子どもの代位までは残って欲しいですよ。
一年半ほど前になりますが、滋賀県の平野住建さんにご案内いただいて、東近江の五個荘(ごかしょう)の商人屋敷を見て回ったことがあります。五個荘は、水路を引き込んだ川戸(かわと)や漆喰壁や舟板塀など、東近江独得の景観を保持している町です。琵琶湖で活躍した舟の廃材を利用した舟板塀が持つ表情は、簡素美といえるものでした。

滋賀琵琶湖湖畔・五個荘の家(外村家)
滋賀琵琶湖湖畔・五個荘の家(外村家)

舟板塀
舟板塀(漁船の廃材利用)

作家の外村繁の実家でもある外村宇兵衛邸の母屋は、万延元(1860)年なので、築後150年近くになります。大工仕事が精緻で、黒光りした柱や梁に、何ともいえない品格がありました。この家は、余程の地震に見舞われない限り、もう100年くらいはびくともしないと思いました。
ただ、いまこれだけの仕事をやれる大工が何人いるのかと問われたら、答えに窮するだろうと思いました。
五個荘の商人屋敷を見ながら、今のお金に直したら建築費は幾ら位掛かるかと同行者に聞いたら、彼は「それは高いやろね」と言い、続けて「そやけど200年で割ったら、今の平均価格より安いのやないか」と言いました。この理屈が妙に気に入って、そうかそれが200年住宅の発想かと思いましたね。
いうなら、それが古典的な200年住宅です。

教えて何ですって? 古典的な200年住宅?
そう。今いわれている200年住宅は、ストックになり得る住宅という点では一緒でも、五個荘の商人屋敷のように古典的なものではありません。あんな材料や、職人を、今期待できません。それが現実です。あくまで、今の建築材料で、今の建築技術で、今の設計力と工事力によってつくる、200年生き永らえるような住宅をめざす住宅、というものです。それ以上のように描き出して、あたかも古典的な200年住宅のような幻想をつくってはいけないと思います。今の家の造り方で200年住宅の現実はないのだから。

教えて謙虚で、よろしい。
(笑い)……日本の住宅寿命が、諸外国に比べて短いことは確かです。イギリスの住宅寿命は77年、アメリカは55年。これに対して日本の住宅寿命は約30年といわれています。まさにスクラップ・アンド・ビルド(建てては壊す)だね。
銀匙が100年持つとすると、割り箸は食べたら捨てますね。
一方は残るが、一方は消えます。割り箸の効用を、これだけで決められませんが、比喩(ひゆ)的にいうと、両者を一緒くたにして、GDP(国内総生産)が大きい、小さいで論じられませんよね。日本は「使い捨て文化」といわれますが、現在の日本では住宅までも「使い捨て」にされ、消費されてきました。
持続可能な社会がいわれ、資源問題やCO2の削減を考えると、住宅寿命がこんなふうでいいわけがありません。その意味で、町の工務店ネットは、基本的に200年住宅を支持します。
エコと同じで、建前でやるのではなく、それこそ謙虚に、自分たちの技術や、個々が持てる資金力の中で、少なくともここは守ろう、ここは大切にしようということで、やって行きたいと思います。

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  1. トラックバック from:aki's STOCKTAKING

    2008/11/24(月)10:50

    200年住宅って何なの?

    link 「超長期住宅先導的モデル事業」に町の工務店ネットは4件の案を応募していたが、BeV Standard を含めて全てが採択された。 まぁ、そこで喜んでいるだけでは始まらない…….というわ…

  2. 編集人さんからのコメント

    2008/11/25(火)04:37

    Tamaさん、修理できるって、とても大事なことですね。販売店に貶められているなかで、手の復権をはかろうという人がいるのは、頼もしいことです。町の八百屋さんは、その野菜がいちばんおいしい時期、つまり旬ですね、それを店頭で声掛けすることで、その店の前を通る人に季節を感じさせてくれます。戦艦のような郊外店があちらこちらにつくられて、そうしたものを、日本の町は失う方向で動いています。

    安井さん、町の工務店メンバーは宇都宮にはいませんが、わたしの知り合いの工務店があります。その工務店をご紹介しても結構ですし、もし波長が合う工務店がありましたら、是非、町の工務店ネットに加わるようお薦めください。

    さわさん、これから設計が始まり、建築へと動き出します。びおは、その模様をいろいろな角度から追います。
    「住宅医」の方は、調査現場に同行します。この取り組みのリーダーである、岐阜県立森林文化アカデミーの三澤文子さんは、ご自身のブログで「出航!」と雄叫びを挙げておられます。

  3. tamaさんからのコメント

    2008/11/25(火)01:23

    まずは、採択おめでとうございます。

    今回の特集に表されているように、200年住宅には、一面からは計れない、いろいろな要素が含まれていますね。

    電気屋さんの話で思い出したことがあります。
    昔なじみの町の電気屋さん。
    洗濯機の修理に来てくれていました。
    昔は、ナショナルは代理店教育が行き届いていて、電気製品の修理ができるように育て上げる研修制度があったらしい。
    ある時期から、修理はメーカーに送る方式に変わって、単なる販売店となったとのこと。
    先端技術を囲い込むためという理由らしい。
    「でも、自分が売ったものが直せないなんて、なんかいやでなぁ
    ある時、分解して、研究して見たんよ。そしたら、教育を受けていたおかげで、直せることが分かってな。」
    困ったのは部品。でも、今はその部品が作れる機械を購入したおかげで、ほとんどのものが直せるようになったそうだ。
    「今は新製品売っても、ありがとうなんて言われないけど、修理できると100%喜んでもらえるから嬉しいよ。」

    今は、その町から引っ越した我が家にしてみれば、
    久しぶりに聞くその町や人のことなど、修理の間も、懐かしい会話が弾みます。
    ちょっとした家電は、大手量販店で安く買います。
    でも、我が家は今でも大型家電はその電気屋さんで買います。
    ちょっとした値段の違いは、埋めて余りあるものがあります。
    新製品の情報は、量販店で比較してからですが。

    町の工務店に通じるものを感じるのです。
    言葉巧みに宣伝して、売る家を買うよりも
    信頼して任せられる、心の通うお付き合いを続けていける町の工務店。
    そうは思っても、自分たちの好みの家を建ててもらえないんじゃないかと不安であれば、設計は好みの建築家に依頼して、建てるのは信頼置ける町の工務店。
    そんな姿が、とても自然に思えるのです。

    「住宅医」となれば、それは町のお医者さんの存在ですよね。
    これからの展開に、大きな期待を寄せています。

  4. 安井基一さんからのコメント

    2008/11/24(月)21:00

    200年住宅といわれ、先導的モデルと言われるものの、よく分からないできました。この特集は、考え違いしないように冷静に記述されていて、いいと思った。
    建ててもらえる工務店を教えてください。宇都宮に住んでいます。

  5. さわさんからのコメント

    2008/11/24(月)20:50

    採択おめでとうございます。すごいですね。どんな住まいが生まれてくるのか、楽しみです。町の工務店ネットの工務店さんに期待します。取り組みの模様を、びおで取り上げてくださいね。

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立春といわれても、まだ冬だよ、といわれる寒波がこの列島を襲っています。けれど、日脚を見ると一日一日伸びていて、木々を見ると芽吹いていて、なるほど立春なのだ、春は立っているのだと思います。

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