興味津々

興味津々・No.025

2008年11月17日 月曜日
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リヤカー今回の更新で、「超高層マンション」が特集されており、その中で大友克洋のSF『AKIRA』のことが語られている。超高層マンションがスラム化し、地上30階以上は空き室になり、そこに雑多な人が住みだすかも、という不吉な推理である。▼大友が描いたのは、第三次世界大戦によって東京が殲滅された後のサイバーパンクな、錆色のネオ・トーキョーを描いた物語だった▼凄い作品が表われたものだと思ったけど、それはあくまでSFの世界に過ぎなかった。いくら何でも、あんな錆色に染まる街にはなるまいと考えていた▼けれども、この世界不況の行く先をみると予測の範囲の一つとして浮かびあがりつつある。超高層マンションは、今はセレブの住まいとして囃されているが、大地震に襲われたら、そのセレブが一番目に逃げ出すかも知れない。居住者が減った建物は、時間の経過とともに錆色へと変色する▼100階建ての建物の上層階だけ人が住まなくなり、そこだけ明かりが消えている状態はおぞましい。安全も衛生も失われた超高層マンションはスラム化せざるを得ない▼人が住まなくなった住宅を廃墟という。朽ち、劣化する。その色が錆色なのである。あの色にネオ・トーキョーを象徴させた大友克洋の才能に今更ながら驚嘆するのであるが、それは色というより、描線そのものに錆色が滲み込んでいるという感じで、それがこのアニメの克明な描写の基になっている▼アーサー・ミラーは、1929年に起こった恐慌を『二つの月曜日の思い出』という戯曲に描いた。恐慌が起こる前と事後の月曜日を二幕で描いた作品である。希望に満ちた日々と、不況の喘ぎが人格まで破壊する姿を克明に描いた作品である▼今回の金融危機の行方はまだ見えない。今回ばかりは、威勢のいい未来学者も楽観を語ることなく、声を潜めている。一方、世界各国で漂流状態に陥る人が続出するという識者のコメントがあり、それが新聞論調をリードしている▼大友克洋は、未来学者が、未来社会をツルツルものとして描いたのに対し、ザラつき、脂つき、錆びついた世界を描いた。その方が、起こり得る現実と思えてきたところに、現在の不安がある▼特集がいうように、人はもう一度、地べたに戻るべきであろう。それしかない。

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