興味津々
興味津々・No.023
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10月31日、厚生労働省は07年度に発がん性のあるアスベスト(石綿)被害で労災認定などの対象者を生んだ全国883事業所の名称を公表した▼その一覧表は、新聞1ページにもなり、はじめは土地の路線評価表なのかと見間違えてしまったが、よく見たら、企業名がびっしりと記されていた▼建設業が451カ所と半数以上を占め、製造業の中では造船関連が75カ所、機械器具製造が42カ所、窯業・土石製品製造が37カ所ということだった▼対象事業場で労災認定を受けたのは938人(うち死者281人)で、症状別では肺がんが507人、中皮腫が522人、石綿肺が4人だった▼疾病の潜伏期間は20〜40年なので、今後も高水準で増え続けるだろうと新聞記事は指摘している。それにしても底が深いなというのが、この表を見て感じたことだった▼アスベストの問題性が指摘されたのは、今から70年前、アメリカでのことだった。この最初の指摘から30年後の1964年に、ニューヨーク科学アカデミーは、アスベストの健康被害を検討する国際会議を開いた。この会議は、アスベストの吸引が肺がんや中皮腫の発祥の原因になるとの勧告を採択し、ようやく社会問題化の口火が切られた▼1976年にはWHO(世界保健機関)が安全基準を各国に通達した。しかしながら、日本では、この通達から29年間ものあいだ、WHOの安全基準値の200倍もの放出が続けられた▼今回の一覧表は、まさにその結果のもので、これは「未必の故意」というべき国家の犯罪にあたると言わざるを得ない▼アイスランドは1983年に、ドイツは93年に、フランスは98年に、イギリスは99年に完全禁止した。日本での完全禁止は、今年2008年である。どうして先延ばしされたかというと、アスベスト製品の大量在庫があったからである。日本は、1970年代~90年代に掛けて、毎年20〜35万トンものアスベストを大量生産していた。それを捌くまでの経過措置として延期されたのだった▼業界への阿(おもね)りは極まっているが、何故、そんな結果を招いたかというと、行政が「大量生産」を「行政指導」したからではあるまいか。農林省の汚染米の構図と同じである。失敗を認めない、責任を取らない行政の問題を抜きにして、このようなことは起こらないわけで、それが常識的な見方である▼アスベストは不滅を意味するギリシャ語である。古くはミイラを埋葬する布にも使われていて、有益な天然資源と考えられてきた▼アスベスト繊維は、髪の毛の5000分の1である。飛散すると、だから防ぎようがないといわれる。そして、一旦体内に吸収された繊維を除去することは不可能である▼今後、半永久的に建物を解体するたびに問題になり、その除去に要する費用、時間は計り知れない。疾病被害も、潜伏期間を考慮すると、これから表面に出てくるであろう。この途方もない責任は、一体だれが負うのだろうか。果たして国は逃げ切れるのだろうか。






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