設計のみつくろい
明かり(永田昌民)
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永田昌民さんに聞く【第1回 明かり】

住宅建築別冊 『住宅設計作法 永田昌民・N設計室の仕事』
今回は、聞き取りという形式で、
建築家・永田昌民さんに、
設計のみつくろいを語っていただきます。
- 第1回 明かり(11/12公開)
- 第2回 開口部(12/1公開)
- 第3回 建具金物
- 第4回 空気集熱式暖房
第1回 明かり
永田昌民さんに、「設計のみつくろい」に登場いただきます。
永田さんは明かりについて、これまでいろいろ書かれています。聞き取り方式にしたのは、叙述式では分からないこと、聞きたいことを、ハッキリさせよう、くわしく聞き出そうというのが理由です。よろしくお願いします。
明かりで大切なことは、明るいだけがいいことではない、ということですね。昼のように明るい照明だと、夜も元気でいなければ、と強要された感じを受けると思います。
少し詳しくいうと、太陽高度が一番高い南中時は、上からの光に照らされますね。そのとき、人の気持ちは、最も活動的で、同時に緊張感が伴います。夕暮れに向うと、太陽の光は弱くなります。そうすると、緊張感が和らぎます。光は人間のバイオリズムを決めているそうで、そういえば、時差ボケを直すのは太陽光の下で動くことだと奥村(昭雄)さんが言っていました。
いずれにしても、外で仕事したり、学校で勉強したり、部活で汗を流して家に帰ってきて、また、部屋中が明るいと休まる感じがしません。塾の明かりは、煌々(こうこう)としています。目を覚ませ、勉強しろという感じですね。
家の明かりは、炎のように闇と光が混在するようなところがないとつまらない。この頃、ろうそくの灯りを楽しんだり、影絵に想像力を逞しくしたり、ということがなくなりましたね。それは闇がなくなったからです。
環境省が「消灯キャンペーン」というのをやっていて、あまり浸透していないキャンペーンだけど、明るいだけの照明を消してみて、ほしい明かりは何なのかを考えると、明かりの本質が見えてくると思います。結果において省エネになるのであって、「消灯」だけをいうキャンペーンでは広がらないかも知れません。
学生のころ、師であった吉村順三さんが、「京都御所の天井には照明がない。だからきれいなんだ」といわれたことがあって、つよく印象に残っています。部分照明がつくりだす陰影が消えない程度の天井照明に留めたいですね。
電磁波発生という面からみると、電磁波は白熱灯の方が圧倒的に少ないわけです。そういう点を含め、総合的に考えるべきです。
性能面からみると、蛍光灯は、物の影がつきにくい性能を持っています。オフィスやコンビニなど、広い範囲を明るく照らすにはいいのです。電気代も安くて、寿命も長いので経済的です。一日6時間点灯した場合、蛍光灯は2〜3年、白熱灯は約1年の寿命ですから。ただ、白熱灯の価格は1/10で済みます。
ぼくは青白い光がモノを平板に照らす蛍光灯は使いたくありません。日が落ちて、晩ご飯のおいしそうな匂いと、赤っぽい明かりが灯るわが家の記憶を大切にしたいと思っています。そんな懐かしい光景を呼び起こすのが、あたたかみのある白熱灯の明かりです。その頃、電気はいくらも使っていなかったし、それで暮らせたわけで、ここまでエネルギー多消費型の生活を強いておいて、白熱電球だけに目くじらを立て、槍玉に挙げることはないだろ、といいたいですね。
「日暮れどき、一軒の家の前を通ったとき、家の中に明るい灯がついて、一家の楽しそうな生活が感じられるとしたら、それが建築家にとっては、もっともうれしいときなのではあるまいか」
という言葉、よく分かるんですね。もちろん吉村さんとは次元が違うのでしょうが。マズイ仕事をしたら、その家の前は通れないという気持ち(笑い)を持っています。
話を前に進めたいのですが、永田さんは照明器具の種類が少ないことで知られます。その理由を教えてください。
食卓にはペンダント、食卓のあかりは、みなで囲むことのできる明かりでありたい。おだやかに、控え目に照らしてくれる月のようなあかりがほしい。灯具の高さは必ずテーブルに置き、なるべくならそこに住む人に椅子に腰掛けてもらった状態で決めることにしています。
天井にはできれば何も付けたくないと思っています。何かの必要ができたとき対応する道具としてのフロアスタンドでほとんど間に合います。
今や居間のメインのようなTVについては、しかたなく、調光できる大型のダウンライトを付けています。ふつうは天井に器具があってもさほど気にならないけど、何もないとかえって変な気がするくらい照明器具にならされてしまっています。
実際、照明器具はとにかく目障りなものです。天井に照明器具がないことを一度体験すると、あるなしの違いや、その部屋に及ぼす空間の質がいかに違うかが分かります。
それぞれの場所と、必要とされる機能で選べば、結果、そういうことになります。
器具は、安価でシンプルなものを使います。とくに小さな家の場合は、器具自体に存在感があると、それが部屋のイメージを決定づけますので注意して選びます。
豪華な照明器具を付けることではなくて、明かりそのものを、どう大切にするかが問題です。器具をオリジナルでつくることもあるけれど、オリジナルですべて作るのは手間もお金も掛かり、たいへんなことなので、出来る限り既製品の照明器具から選ぶことにしています。でも、望んでいるさりげない形のものは少なくて、結局使うものはごく限られた種類になってしまいますね。
電気照明を使うようになったのは、ここ1世紀ほどです。明かりを楽しむという文化が成熟しないまま、器具だけを手に入れてしまったのではないでしょうか。
縄文人が、闇夜に火を起こせるようになったとき、その歓びはどんなふうだったかと、ときどき想像することがあります。実際には、獣除けの効用の方が大きかったでしょうが、そんなふうに想像すると、明かりが持つおもしろさがみえてくるのです。

イラスト:斉藤真
【主な照明】
ペンダントライト
ダウンライト
ブラケット
その他
永田昌民の定番──
「照明器具は、5種類あれば十分ですね」
1.【食卓用】![]() a.ガラス/ルイス・ポールセン:P3007W 「まろやかに成形されたガラス製の笠をもつ小さなペンダントです」 |
![]() b.プラスチック/エリック・モーレンス:P3005W+Z3010W 「小さなペンダント。単純な形の乳白樹脂の笠をとおしてもたらす光がやさしいです」 |
2.【浴室用】![]() ヤマギワ:B-368 「浴室に横向きで使うことが多い照明器具です」 |
3.【階段・駐車場・外部用】![]() ヤマギワ:B-361B 「水廻り、および、外部は、ほとんどこれを使います」 |
4.【室内用】![]() ウシオスペックス:SX-B034D/BF 「50Wと少し暗めですが、フレーム外寸85φで器具の存在が目立たないのが気にいっています」 |
5.【物置用】![]() ヤマギワ:G-054J 「安いのがよい」 |
スケッチ:永田昌民
1941年、大阪府生まれ。建築家。東京藝術大学美術学部建築科卒業、同大学院(吉村順三研究室)修了。1971〜73年同大学非常勤講師。1976年益子義弘(現・東京藝術大学名誉教授)氏とM&N設計室を設立。1984年N設計室に改称、現在に至る。自然エネルギー研究所所長。











2008/11/16(日)18:56
照明器具の選択時に多くの時間を費やします。
室内の定められた(設計にて具現化された)空間に奥行き、濃淡、壁面の光の反射にて、居住の潤いがより一層増すからです。
光(照明)の効果にて、空間が生きるかが決まると言っても良いと思うのです。
蛍光灯は極力使いません。
電磁波のこともあるのですが、蛍光灯には、暖かさが感じられません。
照明は、ただ明るくすれば良いというのではなく、人間の波動に近い光線に安らぎを覚えるからです。
ほとんど暗い空間を作ります。
12帖の居間に60Wで足ります。
毎日の夜の明かりはそれだけ なんの不自由は感じません。
シリカ電球でいいではないでしょうか。
全体照明 部分照明 ショウルームのいいなりでは、どこにもある展示場と同じ空間。。。そういう計画したくないのです。
いつも使う照明器具に ポール へ二グセン があります。
高いとか安いとかの選択で迷うなら、これ一台で足りるのです。
一部屋20万円費やすより6万円の方が心に響く光に感動することでしょう。