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十五夜お月さんを愛でよう

2008年09月12日 金曜日
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月見イラスト

イラスト:小野寺光子

お月見は、ローテーブルがいい。

リビングに大きなローテーブルが欲しい、という人が増えています。しかし、リビングに合ったローテーブルは、家具屋さんに置かれておらず、特注の家具は高くつきます。

こういう場合、普段は食卓テーブル(椅子座)になっていて、食卓の脚を横にすれば、そのままローテーブル(坐り座)としても使えると便利です。

ローテーブルイラスト
Nテーブル 奥村設計所の家具
イラスト:斎藤真

建築家の永田昌民さんが利用されるNテーブルは、そういうテーブルです。

食卓テーブルの大きさは四人掛けであっても、ローテーブルを大きく囲むようにすれば、6人、8人と使えます。ローテーブルがあると、大勢の人が寄ったり、お正月やお雛さん、お祭りやお誕生日、それからこれは今回の提案ですが、十五夜お月見さんなど、少し改めたいときにいい雰囲気を醸しだせます。

年によって違うお月見の日

十五夜(中秋の名月)は、年によって異なります。

それは、お月見は旧暦で行なう行事だからです。旧暦(太陰太陽暦)は、月の満ち欠けで日付を決めます。太陽暦(グレゴリオ暦)とはシステムが異なるのです。したがって、お月見の日(旧8月15日、旧9月13日)は、年によって変わるのです。

今年は9月14日、2007年は9月25日でした。2006年は10月6日でした。来年2009年は10月3日です。旧暦の日付と月の形を比べると、必ずしも旧暦の15日が満月になるとは限りません。今年は、運よく満月の日にあたります。

桂離宮には月見台がありますが、デッキに平テーブルを出して、どうぞ家族でお月見を楽しんでください。
この特集は、そのための参考メモのようなものです。

うさぎの餅つき、大きな蟹、ロバや、ワニや、ガマや、本を読む老人まで。

野口雨情に『十五夜お月さん』という歌があります。雨情、大正9(1920)年の詞です。
この詞は、没落した知り合いの女の子を描いたものといわれています。雨情のほかの詞にもみられることですが、「失われたもの」への情感がこもっていて、それを雨情は、楽しかったであろう「十五夜」を通して詠んでいます。

十五夜お月さん ごきげんさん
ばあやは おいとま とりました

十五夜お月さん 妹は
いなかへ もられて ゆきました

十五夜お月さん かかさんに
もいちど わたしは あいたいな

真ん丸い大きなお月さんは、そのとき、人々にとって不思議なものでした。アメリカのニール・アームストロングが、アポロに乗って月に行くまでは、人は月に幻想をみることができました。

その典型は「かぐや姫」です。「今は昔、竹取の翁といふものありけり」で始まる竹取物語は、日本最古の物語文学とされ、10世紀初め(900年頃)に作られましたが、この物語は、一千年以上も語り継がれています。この物語を成り立たせているのは、月あればこそのもの。

母から「お月さんはね、うさぎが餅つきしているのよ」といわれて育った子どもは幸せでした。しかし、このうさぎの餅つきのフィクションは、日本のものであって、大きなカニに見える国もあれば、女性の横顔にもみえるそうです。世界中に目を向けると、ロバや、ワニや、ガマや、本を読む老人など、さまざまです。中国は日本と同じうさぎですが、うさぎが薬草をひいているということになっています。

月は、常に同じ面を地球に向けているので、世界中のどこで見ても同じ模様の筈なのに、見え方は国によって、こんなに違います。

月の噴火口を最初に見たのはガリレオ・ガリレイでした。

ガリレイは、1610年に望遠鏡を発明して、月の表面を最初に観測しました。ガリレイにとって月は、ヨーロッパの人が月に見出した女性の横顔ではなく、あばただらけの顔に見えたことでしょう。

月を愛でるという風習は、日本では縄文時代ごろに始まるとされ、平安時代に中国から観月の祭事が伝わると、貴族などの間で観月の宴が開かれましたが、ヨーロッパでは満月は人の心をかき乱し、狂わせるものでした。狼男が月を見て変身するとか、月の女神は死を暗示するというのは、日本では理解し難いことです。

中国と日本と韓国の十五夜

観月は、中国からやってきたものと思っている人が少なくありません。

しかし、中国から輸入される前から、日本人はこの日の月を大切にしてきました。稲作には暦が付きものですが、暦が普及する前は、月々の満月の日を折り目の日にしました。陰暦8月のこの日は、穂祭りの日でした。

このように、風雅と関係のない習俗を各地にみることができます。芋、団子、枝豆、薄の穂などを供えるのも、もともと農耕行事だからです。

十五夜は、芋名月とも呼ばれ、月を拝する古来の生活伝承の上に仏教的な意味が習合したといわれています。満月は豊饒のシンボルであり、月光には神霊が宿っていると考えられています。日本各地にみられるお月見は、観月よりも、農耕儀礼の性格をつよく持っています。

一方、中国では「十五夜」――中秋の満月を「中秋節」としてお祝いします。中国人は秋の年中行事として、庭にテーブルを出し、お茶やお酒、おつまみをつまみながら、月餅を食べ、月を楽しみます。その習慣が日本に伝わって変容し、月餅の代わりにお月見団子を食べるようになったといわれます。

現在の中国には、お世話になった人に月餅を贈る習慣があります。地方によって形も大きさも様々です。また、お店に並べられる月餅の種類も豊富です。とても大きい月餅や、今の経済を反映して、とんでもなく高価な月餅もあります。金箔を貼ったものもあり、贈賄問題となる例もあります。このため、中国政府は月餅の包装や詰めたものの価格が、月餅のコストの20%を超えてはいけない、という法律を制定しました。

中国は広いので、地域によって月餅の作り方も異なります。南の広東省広州のスタイルは、柔らかめの餡や皮を用います。小豆餡の他、ハスの実の餡やナツメ餡なども用います。

北京など北方のものは、水分の少ない餡を使い、クルミや松の実などのナッツなどを入れて作ります。

また、韓国にもお月見の習慣があります。というより、こうした習俗、習慣を守ることに韓国は熱心な国です。韓国では、お月見はチュソク(秋夕)と呼ばれています。勤めも休みになります。郷里で親族と共に祝うお正月とされ、お盆に次ぐお祭りになっています。ソンピョン(松餅)というお菓子がつくられます。

日本のお月見、各地の習俗いろいろ

先に述べたように、日本の「十五夜」は、中秋の名月を鑑賞するほか、収穫期を前に、収穫を感謝する初穂祭でもありました。「サトイモ」をお供えするのは、この月がサトイモの収穫期だからです。そのため日本では「芋の名月」と呼ばれています。

各地の風習でユニークなのは、日本版ハロウィン(Halloween/無礼講)とも言うべき「お月見どろぼう」です。家々では軒先や玄関、縁側に月見団子をお供えし、それを子どもたちが盗み食いします。団子は多く盗まれた方が縁起がよいと考えられたからです。

長崎県五島の一部に「まんだかな」という習俗があります。お供えが済むと、すぐに子どもはそれを取って行きます。秋田県仙北郡には「片足御免」という習俗があります。他人の敷地に片足を入れて取る分ならOKというものです。この日だけは「お月様が持って行って下さった」と言うことになり、それはめでたいことなのです。

なかでも傑作は、大阪岸和田の「団子 つかせてぇ!」という習俗です。お月見の日に子どもたちが、「団子 つかせてぇ」と、はしで団子をつついて家々をまわります。
こうした習俗も、最近では、団子に代わってお菓子を配るようになりました。したがってこれは、こうした習俗の現代版、変種といってよいでしょう。
鹿児島や沖縄では、十五夜に綱引きをしたり、相撲大会を開く風習が伝えられています。また沖縄の宮古島では、子どもたちが獅子舞(シーシャガウガウ)をして町中を練り歩く風習があるそうです。これらの意味や内容はよく分かりません。知っている人がいたら教えてください。

ウサイン・ボルトのパワーの源泉はイモだった

ボルト

北京五輪の陸上男子100メートルを世界新記録で優勝したジャマイカのウサイン・ボルトさんのパワーの源泉について、父、ウェルズリー・ボルトさんは、「間違いなくトレローニーのヤムだ」といいました。トレローニーは、ジャマイカ北西部にあるボルトの出身地です。そこで採れるヤムイモを食べてボルトは育ちました。ヤムイモには薬効成分が含まれると信じられていて、思わず父親のウェルズリーさんは叫んだのです。

ヤム(Yam) は、ヤマノイモやナガイモを含むヤマノイモ属の食用種の総称です。学名は、ディオスコレア。

アメリカ合衆国では、オレンジ色のサツマイモがヤムイモと混同され、頻繁にYamと呼ばれていますが、これは西アフリカ出身の奴隷が、北米産のサツマイモをヤムと呼んだのが原因のようです。

日本にもヤマノイモが自生しており、自然薯(じねんじょ)と呼ばれています。スーパーマーケットで出回っているのは、畑で栽培されるナガイモの品種です。自然薯の栽培も行われていますが、地下深く入る芋は収穫にはむかないので、最初から長いパイプの中に栽培されています。

地下茎を食べる自然薯に対して、お月見に食べるサトイモは、里で栽培されることからサトイモです。スーパーマーケットで売られている最近の「自然薯」は、そうしてみるとサトイモの一種ということになるかも知れませんが……。

ヤマのイモと、サトのイモは、異なるところが少なくありませんが、ねばねばしているところなど、似ているところもたくさんあります。サトイモで、ボルトのパワーを得るのはむずかしいかも知れませんが、滋養もありおいしい食材なので、お月見を機会にもっと食べるようにしたいと思います。

サトイモは、別名タロイモと呼ばれます。東南アジアや太平洋諸島では、ずばりタロとよばれています。古くから伝統的生活を営む民族の食生活を支えてきた食材で、タロを食する地域はタロイモ文化圏と呼ばれています。日本でも、南西諸島ではターヌウムと呼ばれています。日本は、タロイモ文化圏の北端に位置します。

原産地は、インド東部からインドシナ半島。日本への渡来は、稲作が始まった縄文時代後期より古く、サトイモは、タロイモのうち最も北方で栽培されている品種群です。

里芋の葉
サトイモの葉

サトイモは葉が大きく、英名で「Elephant Ear(象の耳)」と呼ばれるのはそのためです。

サトイモの主成分はでんぷんです。自然薯の主成分も同じでんぷんですが、自然薯と比べるとサトイモは低カロリーです。たんぱく質やビタミンB1、カリウムも含んでいます。ジャガイモが渡来する江戸時代までは、サトイモはいも類の主流でした。戦後5年目までは野菜の生産量ではベスト3に入っていましたが、その後減少するようになりました。この理由は、続けて栽培すると連作障害を起こして収量が減るため、毎年畑を変えて栽培しなければならないからです。

サトイモには独特のえぐみがあり、皮をむくと手がかゆくなるので、面倒なことが嫌いな若い人は避けるようになっているといわれます。塩を手につけてむけば、かゆくなりませんし、この食材の利用をもっとはかりたいものです。

「びお」編集部員が選んだ「月見」と「里芋」関連ブログ

月見

おやこでポレポレ: 十五夜と十三夜
http://pub.ne.jp/canoe_oyako/?entry_id=1634579
十五夜を見逃しても、次の月には十三夜が来る、ということが日本的考え方でよい、と。

おやこでポレポレ: 9月の星空情報〔中秋の名月をキャンドルナイトで〕
http://pub.ne.jp/canoe_oyako/?entry_id=1623867
手づくり竹ランタンで十五夜を楽しむ。素敵ですね。

弐代目・青い日記帳  | 「石山寺と紫式部展」
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=879
紫式部と石山寺は、十五夜で結びついている?

十五夜:『和のこころ』 日本の年中行事
http://wa-no-kokoro.blog.so-net.ne.jp/2008-07-21
十五夜だけの月見は「片見月」(かたみつき)といって、縁起が悪いのだそうです。十三夜もお月見を!

チュソクは大変 – おばさん的韓国観察日記
http://plaza.rakuten.co.jp/earth1004/diary/200809070000/
韓国のお月見は、主婦にとって憂鬱の種なのだそうです。

おつきさま こんばんは – 心をつかう子育て
http://blogs.yahoo.co.jp/mikimakoakio/757464.html
読んだあと、「お月様、こんばんは」と言いたくなるような絵本の話。

日本の秋の象徴ススキ – 北軽井沢 虹の街 爽やかな風
http://blogs.yahoo.co.jp/yktsp534/55721144.html
北軽井沢のススキ写真がたくさんあります。

里芋

暮らしはたのしい: 日本一の芋煮会フェスティバル
http://beautiful-harmony.cocolog-nifty.com/mwk/2008/09/post-d69a.html
5万食をつくるという、山形の一大イベント、芋煮会です。

★里芋芽かき★ – ★河原さんちの採りたて野菜日記★
http://blogs.yahoo.co.jp/midorinodaidokoro/24611314.html
里芋づくりにはこんな苦労があるんですね。

マクロビ・パパの奮闘記:里芋大好き♪
http://macrobi.livedoor.biz/archives/50172571.html
里芋1kgを30秒でむく方法が紹介されています。

大洲の里芋で『いもたき』 – 小太郎のまんぷく日記
http://blog.goo.ne.jp/1008kotarou/e/6502026c75bf28fc94eaf8cc0daaf5f9
里芋の味だけを存分に楽しめるという、「いもたき」レシピです。

茄子と里いものゴマ味噌絡め♪ – With a Smile*
http://blog.goo.ne.jp/ctbfg027/e/40e0c9ad1966548827e4f70b8786f61d
早く」「簡単に」「美味しく」できるサトイモ料理です。

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  1. tamaさんからのコメント

    2008/9/15(月)20:09

    小野寺さんのイラスト素敵ですね
    家族でこんな風に月を見ながら共にすごす時間
    昨夜はどれくらいの人が月を見上げたでしょうね

    「びお」の記事にうながされ、初めての月見会に近くの後楽園まで行ってきました。
    思えばこうして十五夜の月を愛でる宴は生まれて初めて

    時折かかる雲をすかして朧に見える月は神秘的でした。
    月の満ち欠けに神秘的な感じを抱くのは、たぶん日本人のDNAに刻まれているのでしょうね

  2. さわさんからのコメント

    2008/9/15(月)09:45

    東京では十五夜お月さんを愛でることが出来ました。朝日新聞の『天声人語』で、中秋の名月について書かれていました。

  3. たかむらさんからのコメント

    2008/9/14(日)21:36

    「びお」に出ていたので、今宵は十五夜を愛でよう、と思ったのですが、残念なことに曇っていて、まんまるお月さんをみることがかないませんでした。
    ニュース番組で、十五夜のことを伝えたものは、わたしが見たなかではありませんでした。忘れていた十五夜を思い出させてくれた「びお」に感謝します。

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