設計のみつくろい

雨戸(趙海光)

2008年09月01日 月曜日

木製雨戸と物干兼用手すり

建築家・趙 海光(ぷらん・にじゅういち)

手作り部品、公開します。ぜひ、皆さんのご意見を!

「手作り部品」の手すりと雨戸「手作り部品」の手すりと雨戸

素敵な防犯雨戸がほしい!素敵な防犯雨戸がほしい!

 住宅にはいろんな既成部品が使われています。アルミサッシとかユニットバスとかシャッター雨戸とか。
 ほんとうは、家は全部手づくりの部品でつくりたいと思うのですが、これがなかなかたいへんです。お金がかかったり、性能上のトラブルがあったり。

 しかし、です。このまま放っておくと、住宅はなんだか悲しいことになってしまいそう。工夫なんかどこにもないノッペラボーな家ばっかりになってしまいます。

 そこで考えました。自分がこれまで工夫した手づくり部品をここで公開して、皆さんの意見を聞いてみたい。

 あわよくば皆さんにもこれを使っていただこう。そうすれば一挙両得。なぜなら、皆さんにも使っていただければ、自分では気がつかなった欠点や利点がいろいろ分ることになりますから。

 というわけで、ここでは「木製雨戸」と「物干兼用手すり」の二つを紹介します。願わくば改良すべき点やさらなる工夫へのヒントなどお寄せくださいますように。

1.木製雨戸

作成した木製雨戸作成した木製雨戸

雨戸イラスト

上部納まり図
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上部納まり図
雨戸の上側はこんなふう。ハンガーレールでつってあるところがミソ。

下部納まり図
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下部納まり図

建具表より
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設計事務所では建具を表現するのにこんな表を使います。これをもとに、建具屋さんが手造りするわけですね。図面の右にある拡大図は防犯用の固定金具です。

これは既製品のシャッター雨戸がイヤでたまらず、なんとかしようと考えてつくった木製の防犯雨戸です。え? なんで既製品がイヤなんだ?って。と言われても答えに詰まりますが‥‥

さて、この雨戸のポイントは通風機能を持たせて、夏の夜に窓を開けたまま寝られるようにした点。縦格子のスリットから風が抜けて、雨戸の内側のサッシを開けておけばかなり涼しい。

開け閉めの利便を考えて吊り戸にしたのですが、これは重量の点から考えても有効でした。幅が2メートル、高さは大きいもので2.4メートルもありますから、かなりの重量になるのです。

詳しくはスケッチと図面を見ていただきたいのですが、防犯にはかなり気をつかっていて、隙間から手を入れて解錠できない位置に固定金具を二カ所付けています。

素材に使ったのはベイヒバの板。ステンプルーフという撥水剤を塗りました。ただし透明な撥水剤というのは効力が長く続かず、色のついた木材保護塗料を塗ったほうがよさそうです。

ところで、同じタイプの雨戸を小型にして、お風呂の防犯雨戸にも使いました。外から覗かれずに風を通そうとしたもので、これだとお風呂を常に乾いた状態にしておくことができます。

横幅800、高さ800の正方形が横に二枚連続した横ルーバータイプ。
ただしこっちは吊り戸ではなくて突き出し型。突き出して固定する金具が見つからず、結局ステンレスの棒金具をつくりました。

2.物干兼用手すり

物干兼用手すり物干兼用手すり

物干兼用手すりイラスト

物干兼手すり図面
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物干兼手すりの図面です。こういう図面を書いていると、なんだか現場で本当に自分でつくっているみたいな気分になりますね。

物干兼用手すり
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この家の2階デッキは8帖の広さがあります。右側が物干兼用、左はふつうの手すり。

住宅に物干し場は欠かせない。でもこれが意外に面倒で、せっかく二階に大きなデッキをつくっても干し物で占領されちゃったりします。

そこで考えました。(いや、じつをいえばこれは建てぬしのアイデアだったのですが、)物干と手すりを兼用して外側に突き出したらどうだろう。

手すりから物干竿を受ける腕を突き出して、そこに竿を渡す。なんかみっともないとお思いかも知れません。でも、出来上がってみたらこれが意外に「使える」のです。デッキを干し物に占領されることもありません。

少し大きめの敷地で、隣地との間に余裕がないと難しい、ということはありますが、さほどお金もかからず(なにしろ手すりに物干竿受けを溶接するだけですから)簡単に出来ます。

注意点は洗濯物の重量を支えるため、手すりの支柱は必ず鉄にすること。そして必ず溶融亜鉛メッキを施すこと。ここでは30ミリのスチール角パイプ(支柱)に6ミリのプレート(物干竿受け)を溶接したうえで一体で溶融亜鉛メッキ(いわゆるドブ漬けメッキですが)を施しています。

支柱は鉄で手すり自体は木製です。ここで使った手すりはヒノキの30ミリの板。この手すりは手触りを考えて木を現しのままにしたのですが、やはり劣化します。ガルバリューム鋼板などの笠木を被せたほうがよさそうですね。

趙海光(ちょう うみひこ)

1948 年、青森県生まれ。建築家。法政大学工学部建築学科卒業。1980年に(株)ぷらん・にじゅういちを設立。1991年に岐阜県金山町の大工職人衆と「台形集成材一座」を結成し、国産材による現代型木造住宅の開発と普及に努める。現在、定番住宅「Cho Standard──町家型住宅」の展開を、全国の地域工務店とともに始める。

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  1. go-shiyoさんからのコメント

    2008/9/12(金)09:54

    親が初めて増改築したとき雨戸をつけました。上部15センチぐらいにガラスが入っていて、そこから覗く風景が非日常的に見えたことを、子供心に記憶しています。
    その頃は、台風が来ると隣近所で争うように、窓に板を打ち付けました。不思議と夜に接近することが多くて、早めに仕事を切り上げたお父さんたちが打つ、金槌の音が響いていたものでした。
    家を守る行為がまじかに見られて、父親が頼もしく思えたものです。
    趙さんの雨戸の図面を拝見していて、そんなことを思い出したのです。自然災害が頻発する昨今!家の周りにぐるりとレールを這わして、イザという時にデッキ下に保管した建築現場のアルミ足場板を差し込んで、雨戸のように使うなんて考えて見ました。

  2. tamaさんからのコメント

    2008/9/8(月)18:46

    子供のころ、木製建具の窓にたしか雨戸が付いてました。
    子供には動かせないくらい建付けが悪かった記憶が
    サッシに取替えしてなくなりました。
    雨のための戸で雨戸か
    防犯のためというのも、いやな世の中ですが、通風できるのはありがたいし、
    外観的にもポイントになりますよね。
    西日よけとして考えてもいいなと思いました。

  3. 副編サヅカさんからのコメント

    2008/9/5(金)23:54

    我が家にも雨戸がありません。ついでながら「雨どい」もありません。

    日本チョーさん党さん(趙さんご本人ではないですか)からリクエストの写真ですが、残念ながらここに直接画像をいれていただけないので、本文中に追記できればと思います。

    サミイヌさん、
    掲載OKでしたら、info@bionet.jp宛にメールいただけますでしょうか。
    よろしくお願いいたします。

  4. 日本チョーさん党さんからのコメント

    2008/9/5(金)11:12

    yoshikiさん、雨戸は決して死語ではありません。我が家に雨戸をつけない設計をしたら「防犯はどうすんのよ」とカミさんにひどく叱られました。ま、盗られるモノなんぞウチにはないじゃんと、居直ったのですが。雨戸ってだから、いまや防犯のためなんですよね。
    その雨戸が木製だとおっしゃるサミイヌさん、うらやましいかぎり。しかも自分で修理までしてしまうとは。その通風口が確保された雨戸ってどんなかたちをしてるのかな?スケッチか写真を解説付きで投稿していただけませんか。ぜひ拝見したい。(拝見して自分の設計に取り入れたいというこの根性が、我ながら悲しい)

  5. サミイヌさんからのコメント

    2008/9/4(木)16:55

    中古で手に入れた我が家は今どき(?)木製雨戸です。古い木造家屋の場合、サッシや雨戸類が幾分閉まりづらくなってしまうのは致し方無いとも思っていますが、木製建具は削ったり打ったり自由自在で日曜大工でもメンテナンスが簡単!アルミサッシではおそらく全く動かなくなって交換するしかないのではないかと思います。我が家の雨戸は下の部分に通風口が確保されているのですが、今の時期は朝晩涼しくなったので木の雨戸からの自然の風で快適に眠れます。最近の家ではほとんど見かけなくなった木製雨戸ですが、もう一度見直す価値は大きいと思います。

  6. yoshikiさんからのコメント

    2008/9/4(木)06:43

    「設計のみつくろい」楽しんでいます。
    これまでのものを見ていると、筆者それぞれ、相互に意識されていて、タイトルは違うものの、手摺、デッキについて触れられていたりします。それぞれの「みつくろい」なんですね。
    雨戸って死語かと思っていたら、こんなふうにこだわる人がいて、おもしろかったです。

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