びお・七十二候
寒蟬鳴・ひぐらしなく
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つくつく法師は、中国で寒蝉と呼ばれているように、これは文句なく秋の蝉です。けれどもヒグラシは、夏の朝方か夕方に、甲高くカナカナと鳴きます。涼しげな鳴き声ですが、暑中の涼であって、いかにも夏を感じさせます。ヒグラシの候は、立秋とはいえ、夏、真っ最中ですものね。
ヒグラシは、その鳴き声から、カナカナ蝉と呼ぶ人がいます。体は緑色の地に、黒色や赤褐色の斑紋をもっていて、翅は透明でわずかに緑色を帯びています。
蝉といえば、松尾芭蕉の〈閑かさや岩にしみ入る蝉の声〉が、あまりにも有名です。蝉は声の虫です。蝉が鳴いているのは、生きて在ることそのものです。
芭蕉には〈やがて死ぬけしきは見えず蝉の声〉という句もあります。蝉は、鳴声の激しさとその命の短さが対照的です。地上に現れて1週間の短い命を鳴くのです。それは生の謳歌であって、そこには死の予感はない、と芭蕉は詠むのです。
ただ、生物的には、ヒグラシに限らず、蝉で鳴くのは雄だけです。これはギリシャの哲人アリストテレスが言っていて、常識とされていますが、では雌は、どのように生を謳っているのでしょうか?
玉井一匡さんのブログ・My placeに「蝉の殻をあつめる人」のことが出ています。
「今朝は、公園の柵のまわりでなにやらつまみ上げている人がいた。通り過ぎるときにちらりと見ると、蝉の抜け殻だった」
玉井さんは、好奇心が抑えられず、引き返してたずねます。
「蝉の抜け殻を集めていらっしゃるんですか?」
気むずかしそうな顔が急に笑顔に変わった。
「ええ、生きているのをつかまえるのはかわいそうだから、殻をあつめるんです。ほら、この小さいのはツクツクホウシ」
おもしろいから読んでみてください。
昔から中国では、蝉の抜け殻(脱皮殻)を漢方薬として利用してきています。食用としても使われていて、色の濃い油蝉はまずくて、羽根が透明のものがおいしいと言われます。







2009/8/12(水)10:01
[...] 立秋「寒蝉鳴・ひぐらしなく 」 http://www.bionet.jp/2008/08/bio72_38/ [...]
2008/8/17(日)12:57
この項を書いたあとに「MyPlace」に玉井さんが書かれたことを知り、慌てて加筆しました。玉井さんが書かれた「蝉のカラを集める人」を、みんなに読んでもらいたくてご紹介しました。中国に、そういう職業人がいることは調べて分かっていましたが、リアリティがないので書かないでいましたところ、日本でも、という玉井さんのご紹介にびっくりしました。
2008/8/17(日)10:23
以前から七十二候のことを書こうと思っていたのですが、蝉のカラのエントリーをしたら「寒蝉鳴」になっていたので、ちょうどいいと思って七十二候のことを書きました。自分で書くことにとらわれて、このエントリーを読むのがあとになってしまい、いまになって読んでみたら「蝉のカラを集める人」のエントリーのことが書かれていたのでびっくりしました。
2008/8/13(水)05:01
鳥はバードウォッチングですが、セミは耳で聴きわける楽しさがあります。行く夏をたのしめる素材です。