設計のみつくろい

猫の居場所と出入り口(中川裕二・中川圭子)

2008年07月17日 木曜日

猫の居場所と出入り口

中川裕二・中川圭子

思いどおりにならない、それが猫

ねこ

まず、冒頭に、お伝えしたい事があります。この事を知っていただく事で、以下に書かせていただいた内容が成る程と理解していただけるのではないでしょうか。

猫は、他の動物よりも、人間様よりも、一番の『役者』だと思っている。
そして、自ら、その事を意識し、自覚し、行動しているのが、猫である。

常に、我が道を行き、オンリーワンである事がしごく当たり前だと思っているのが猫なのです。
そして、そんな猫という存在に、何故か、私達人間は、究極の『癒し』を感じてしまうのではないでしょうか。

ご忠告します。くれぐれも、家族の一員となった猫を自分の思うように支配しようなんて考えは捨ててください。たとえ、そう考えたとしても、人間の思うようにならないのが、猫だからです。
そんな猫との暮しがより快適に、より楽しくなりますように。

どうして高いところが好きなの?

ねこ
ねこ
ねこ

cd-rom版『世界大百科事典』(平凡社・日立デジタル)によれば、猫の家畜化は、

【イエネコの家畜化】
イエネコ(飼いネコ)felis catus の家畜化の歴史はイヌに次いで古く,アフリカからインドにかけて分布するリビアネコを家畜化したものとされる。ネコの家畜化は人類の居住地近くに生息する齧歯(げつし)類の捕食や腐肉をあさることができる機会を利用することから始まるもので,イエネコの出現に人類が果たした役割は能動的ではなく,むしろ受動的であった。(中略) 明白な家畜のネコが普及したのはエジプトの前950‐前880年とされ,ヨーロッパに入ったのは8世紀,日本へはアフリカ,ヨーロッパ,アジアを経て,中国から仏教伝来の際に経典を鼠害から守る役目として渡航してきたと伝えられている。また漁夫のマスコットとしてシベリアから渡来したという説もあるが,日本に中国から入った確実な記録は884年(元慶8)である。 一木 彦三

とあります。
猫についての資料は、あらゆる分野において、膨大な情報量があるのですが、これらは、いかに猫が人間にとって興味深い存在であるかを物語っていると言えるでしょう。

特性について、考えてみますと、動物の中で、猫は、とても独占欲が強い動物の部類に入るでしょう。普通、犬等は、人につくと言われますが、猫の場合は家につくと考えられています。自分の居心地のいい場所(人)を見極め、住処とするからです。一旦自分の場所を決めると、早速、陣地取りに入ります。
他の猫に荒らされないよう、頬腺などから出る分泌物や尿などによって、自分の臭いをつけて廻り、縄張りである事を知らせようとします。他の猫とのコミュニケーションにも使われるようです。猫が飼い主や気に入った人が来ると足に顔をすりよせる行動も、頬腺などから出る分泌物をつけ、自分の物であるというマーキング行為であるようです。
猫が高い所や、隅っこが好きなのも、高い所から自分の陣地を見張るという独特の特性の現れであるかもしれません。

そのマーキング行為を嫌がる人達は、猫対策として、ペットボトルに水を入れ玄関先に置く風景をよく見かけます。
ある時に遭遇した、そんな現場での話です。せっかく、昔ながらの美しい情緒豊かな町家風景の中にこつ然と沢山のペットボトルが家の廻り中に置かれている様を見て、カメラを片手に、愕然としていました。そこに、おもむろに、猫登場。そのペットボトルに向い、悠然と尿をかけて歩く猫。まるで勝ち誇ったように。というように、残念ながら、全く根拠のない対策である事を確認した一瞬でした。

砂地を見つけると猫は好んで、その場所に尿や便をします。猫はとても行儀が良く、その行為をした後、ちゃんと砂をかけて隠します。猫用トイレも同様ですので、浅いトイレの場合は、外に散ってしまいます。室内に置く場合、深いトイレを選ぶ事と、それを設置する場所は、水洗いしやすい素材で仕上げてある場所がいいでしょう。

尿を掛ける行為は必ずしもマーキング行為だけとは限りません。例えば、自分の遊びたい時、相手をしてくれなかったりすると、嫌がらせのように一番大事なものに尿を掛けて歩いたりする事があります。例えば我家の例として挙げてみましょう。仕事ばかりして相手をしてやらなかった猫は、その仕事の主を嫌ったのか、コンピューター本体に目の前でマーキング。また、愛車のバイクであったり、車のバンパー等にもやられていました。どうも光る金属部分によく反応するようです。その際の尿は普段より濃度も臭いも濃いものをまき散らすようです。その部分だけが酸化していましたので、犯人が究明できたという訳です。そんな現場を見た場合は、急いで水洗いする方が賢明でしょう。

一般的には1才前後に去勢した雄猫はマーキングはしなくなると言われていますが、どうも猫差があるようです。

猫の本能を満足させる住まい

ねこ
ねこ
ねこ
ねこ

家だけで飼っている内猫と外を自由に徘徊できる外猫によっても、住まいの中での工夫は変わってきます。
猫は、本能的に、動くものにとても興味があります。風にたなびくカーテンでさえも面白い遊び道具になってしまうようです。掃き出し窓はドレープカーテンよりもシェードのように上から降ろすタイプの物の方が賢明かもしれません。

内猫の場合、その本能的役割を少しの工夫で満足させてやると、ストレスが解消され、人間に取って不都合な悪さをしにくくなるようです。
例えば、窓から猫が外を見れるような場所があったり、タンスや本棚の上等に簡単に上がれるようにしてやる事も大事です。
また、こんな工夫もできるかもしれません。例えば、壁に猫用階段を作ってみましょう。階段と猫もインテリアの一部になるのではないでしょうか。その場合、階段の巾は、猫の足が辛うじて置ける巾であればいいようです。

そして、爪研の場所も必要です。ちゃんと場所を用意してやらないと、柱や家具等で爪研ぎをされてしまう事になりかねません。勿論、市販の段ボール製のものでもいいのですが、木の表皮を重ねたようなものがあるとより自然でしょう。その場合、少し角度をつけてやるといいようです。また、タイルカーペットを一枚置いてやってもいいでしょう。まず、最初に、爪研ぎしてもいい場所を決めてやる事が大事なようです。
猫の躾も、子供と同じ事です。叱る時は、ひるまず、間違いをすぐ叱る事です。時間が経った後では、何故叱られたか理解できないからです。

室内のマーキング対策としては、床から上部の壁材は、水洗いしても可能なものか、もしくは、幅広(スプレー状にするので、約30cm以上必要)の巾木か腰壁を作るといいでしょう。その際、柔らかい木製は爪研ぎをされる事になりかねませんので、固めの材料の方が無難だと思います。

室内猫の場合、犬のように散歩を必要とない分、家の中にも梁や階段等があると自由に走り回る事が出来、かなりストレスが解消されます。若い猫程、エネルギーの発散が必要なようです。

また、家でペットを飼う場合、懸念されるものの筆頭として挙げられるものとして、まず、ペットの抜け毛ではないでしょうか。
部屋に溜った抜け毛はノミやダニが繁殖しやすくなり、アレルギーの素にもなってしまいます。

対策としては、ブラッシングが一番です。我家では、特に抜け毛の多い季節には毎日のようにブラッシングしています。ガムテープで抜け毛を取ってやる方法も、毛が飛び散らず、室内でするにはとても重宝しています。
こまめに掃除をしてやる事も大事な事です。

本質的に、犬のように猫は家でのシャンプーはあまり必要ではないのですが、毛の長いタイプの猫は定期的にシャンプーをしてやる事で毛並みも揃い清潔になります。
本来猫は、とても清潔好きで、始終暇さえあれば自分の舌で身体中を舐めて毛づくいをします。毛づくろいや食事の際に飲み込んだ毛は、胃の中で毛玉になり胃腸障害である「毛玉症」を引き起こす可能性があります。その為、草を食べることにより食道や胃を刺激し、毛玉を吐き出すことを本能として持っているようです。楽に吐き出せるよう、その為の草を用意してやりましょう。室内でも栽培できる「猫の草セット」を素敵な器に入れてインテリアの一部にする事もできます。その際、すぐ枯れてしまいますので、時々日光浴をさせてやりましょう。

開けてよいところ、よくないところ

ねこ
ねこ
ねこ
ねこ

それでは、室内で猫を飼う場合の出入り口について考えてみましょう。
一般的には、普段の出入り口に、犬猫用ドアを既存のドアにつける方法があるのですが、今は、そのドアも様々で、首輪にセンサーをつけ、その猫にだけ反応するセンサー付きドア等、いたりつくせりのドアが販売されています。これらは、大抵、簡単に後付けできるタイプのものが多いようです。
既製品に頼らずとも、その猫の特徴に合わせてdiy で用意したボードとヒンジ等で簡単にいろいろ工夫したドアを素人でもつくる事もできます。

自由に出入りできる部屋と、入ってはいけない部屋をきちんと猫にも分からせる事が必要でしょう。

ドアを考えた場合、猫ドアだけが自由に出入りできるドアでは無いようです。飛び上がれる位置にあるレバーハンドルは、猫が勝手にハンドルを回し開ける事ができます。軽いタイプの引き戸も同様です。開けるだけならいいのですが、ちゃんと閉めてくれないので困ったものです。

入って欲しくない室内のドアは、プッシュプルか丸ノブハンドルがお勧めです。

何処でも、勝手気ままに出入りできるドアと、出来ないドアのストーリー。

「外に出して〜ニャ〜」甘えた泣き声でせがむ。
「今は、駄目!」すごすご…。

ドアの外で、しっかり遊びやっと帰ってきた猫。 
「今、帰ったぞ〜 ニャ〜」
いそいそドアに向い、「お帰りニャさ〜い」(何故か猫声?)とドアを開ける。

当たり前のように悠然と部屋に入り、満足顔でゴロニャ〜ンと横たわる。

こんな風景、あなたの身近にありませんか。

我が家の場合、猫の話しになると、理論的思考よりも、つい感情走ってしまう傾向になってしまうようです。

是非、あなたの身近な猫の様子、工夫をお聞かせください。もっともっと猫深いストーリーになります事を楽しみにしています。

中川裕二

(有)エルイーオー設計室 主宰 建築士 インテリアプランナー 近畿大学工学部建築学科 非常勤講師

中川圭子

(有)エルイーオー設計室 建築士 インテリアプランナー

イラスト:Yuki Yamasaki

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  1. Y&K Nakagawaさんからのコメント

    2008/12/23(火)21:36

    床屋の娘さんへ
    コメントありがとうございます。お返事が遅くなってしまい、申し訳
    ございませんでした。
    猫ちゃんの多頭飼い、楽しそうですね。
    我家のクロは、協調性がないため、なかなか同居は難しいようです。
    友人の所を見ていると、猫にもちゃんと相性があるらしく、相性の合う
    猫同士だと見ていてほのぼのしてきます。
    ちなみに、捨てられた子猫が、雄猫のお乳をむさぼり、仕方ないな〜と
    成されるままにしている様には、驚きました。
    やはり、年と取ると猫も穏やかになるようです。今暫くですね。

  2. 床屋の娘さんからのコメント

    2008/9/30(火)17:49

    tamaさんからご紹介されてこちらにアクセスしました。
    わが身の出来事が映し出されているようで、楽しく拝読させていただきました。
    初めて親族以外の猫の多頭飼いをしております。
    仔猫(雌想定3ヶ月)が我が家に来たのが、8月7日。
    先住猫は雌の7歳。
    そりゃぁ。大変な事になっています。
    どっちが追いかけているのかドーナツのようでわかりません。
    昼間は、誰も居ないので、おそらく、別々に寝ているのでしょうね。
    とにかく、私が帰ってから、お母さんの争奪戦が始まるのです。
    もう、されるがままになっています。

    ある方が、今、仔猫は、大人猫の気持ちがわからないけど
    大人になれば、大人猫の気持ちがわかるだろって。

    それを期待して仔猫が落ち着くのを待っています。

    これからも楽しく拝読させていただきます。
    よろしくお願い致します。

    黒猫ちゃんは、私にとって思い出深い猫で、
    懐かしいです。

  3. Y&K Nakagawaさんからのコメント

    2008/9/7(日)21:40

    にゃんちゃん大好きっ子さん、こんにちは。

    我家クロちゃんは、一声泣かないと入れてもらえない状態なので(外に出している
    時は、誰かがいるので)他所の猫入って来る事は無いのですが、(もし万が一入っ
    てくると、嫉妬深い我がクロは、死にものぐるいで戦うでしょう〜)
    友人の所には、自由に入ってこれる為、時には、違う猫が餌を食べている事も多々
    あるようです。

    以下のようなものが、ネット上で販売されているようです。
    http://www.kk-sansei.co.jp/product18.html
    http://www.yuu3.jp/autodoor/petdoor.html
    ただ、上記のもの どちらも、実際私は使った事がありません。
    でも、構造的に見る限り、大丈夫だと思うのですが…。
    こんなご返答で申し訳ございません。

    どうぞ、よろしくお願い致します。

  4. にゃんちゃん大好きっ子さんからのコメント

    2008/9/7(日)09:40

    我が家では、屋外にも自由に出いれ出来るようにしているのですが、どうしても、他所の猫も通っちゃうんですよね・・・。
    センサー付きの猫の入り口を書かれていましたが、販売元のメーカー名と、商品名をお教えいただけたらと思いますし、通販しているお店があったら教えていただけないでしょうか?
    よろしくお願いします。

  5. Y&K Nakagawaさんからのコメント

    2008/7/28(月)11:32

    猫好きのおばさん。結果を是非お教えくださいね。
    「癒されるわよ〜夫婦仲も良くなったり、年と取るとボケ防止にもいいんだって〜!
    ボケられた、寝たきりのおばあさんが、猫を側に置く事で、
    ボケが直り、元気になられたという臨床もあるんだって〜」
    なんて、コメントはいかがでしょうか?(まだ、先のお話しかもしれませんが..)これは事実です。

    tamaさん。素敵なコメントありがとうございます。
    「トイレに流せるネコ砂」確かにこれは魅力的な言葉ですよね〜。
    勿論、猫のウンチは、流せる筈ですが、砂は、やはりくせ者
    のようです。
    当初、いろいろ試してみたのですが、我家では、今はおしっこをすると固まるタイプのものを使用しています。大きい玉状のものが、飛び散らないで便利です。これはウンチも独立(?)して取れ、ゴミの省略化になるからです。
    ただ、やはり長時間置くと臭くなりますので、こまめに取り替えてゴミとして出しています。
    エコを考えると、何か他のものを考えた方がいいのですが、代案が見つからず、そのままになっています。
    何か他の皆様の工夫もお聞きしたいですね。
    臭い取りには、市販の消臭剤よりも、我家では、いい水を霧状スプレーで散布するとすぐ臭いが取れ、(炭を入れて作った水でもいいでしょう)
    マイナスイオン効果も出て心も身体にも気持ちいいと思います。
    是非、お試しくださいね。

  6. tamaさんからのコメント

    2008/7/27(日)21:04

    猫を家で飼いたい人に朗報ですね
    犬も猫も好きだけど、家で飼うのは犬じゃないと無理かなと思っていました。

    でも、きちんと猫の居心地を考えてあげたら
    大丈夫なんですね。
    それに、猫階段はお部屋のアクセントとしてもとても素敵♪

    トイレだって、人間みたいに水洗トイレに流せないだけで、猫にしてみればきちんと砂をかけて始末してるつもりなんですものね。
    そこは、人間が処理する手間をちょっとかけて。
    というところですね。

    ちょっとトイレでの私の失敗談。
    学生時代に猫を飼っていた時の事、アパートのトイレに流せるネコ砂って書いてあるからどんどん流して、浄化槽を詰まらせた経験が。。。

    色々な事に研究不足でした。。。

    『人間が快適な空間は猫にとっても快適な空間』
    聞いてみれば当たり前のことのようですが
    見落としていました。

    そうですね、家族の一員として
    豊かに、共に暮らしていく工夫
    ありがとうございました。

  7. 猫好きのおばさんさんからのコメント

    2008/7/27(日)01:22

    懇切丁寧なご返事ありがとうございました。この内容で説得してみます。

  8. Y&K Nakagawaさんからのコメント

    2008/7/24(木)21:26

    こんにちは。ちなみに、我が事務所も高気密、高断熱の建物です。我家のクロは、至って、自由に出入りできる環境なのですが、こまめに、換気をしています。掃除も勿論ですが、人間が快適な空間は猫にとっても快適な空間のようです。
    奇麗好きな猫にとって、換気と掃除さえ気をつければ至って大丈夫です。実証済みですので、ご安心ください。(これで説得できますでしょうか? まだありそうですね〜説得できるいいネタが…)そうそう、猫にいい水を飲ませてやると臭いは随分なくなりますよ。病気も今は殆どしなくなりました。
    食も大事という事でしょうか?

  9. 猫好きのおばさんさんからのコメント

    2008/7/24(木)05:18

    猫を飼っていますが、今度家を造るにおいて、猫ぎらい旦那から、高断熱・高気密の家では臭ってしまって猫は飼えないぞ、といわれています。どうしたらいいのでしょうか? 旦那を説得する方法を誰か教えて!!!!!

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