興味津々

興味津々・No.002

2008年07月23日 水曜日
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下駄小泉八雲――ラフカディオ・ハーンは、1890年(明治23年)8月30日に松江の、大橋川の船着き場に到着した。ハーンは北岸の旧富田旅館に宿を取り、この宿に三ヶ月ほど滞在した。朝食はきまって牛乳と卵、昼食と夕食は和食だった。好き嫌いはほとんどなくて、日本酒に親しんだという。部屋は2階の和室、近所の散歩によく出かけたという。◆近くにあった松江大橋は、その頃木橋だった。芥川龍之介に、松江に架かる橋のことを書いた随想がある。◆「松江へ来て、先(まず)自分の心を惹いたものは、此市(このまち)を縦横(じゆうわう)に貫(つらぬ)いてゐる川の水と其(その)川の上に架(か)けられた多くの木造の橋とであつた」(『松江印象記』より)◆この橋の袂に宿を取ったハーンは、まだ日本語をうまく話せなかった。だから、ゲタや船、水の流れる音に敏感だった。言葉を解せないとき、人は耳がすこぶる敏感になる。◆感受性の鋭いハーンの耳は、「橋の上には、下駄の音が引きも切らず、しだいに音高くひびきはじめる。大橋の上をわたるこの下駄の音は、忘れられない音だ。・・・ちょこちょこと足早で、ほがらかで、音楽的で、なにか大がかりな舞踏に似ているところがある」(『日本瞥見記「第七章 神々の首都」』より)と書いた。◆ハーンにとって、木の橋を渡る人のカランコロンという下駄の音は、音楽だった。◆ハーンは、松江で英語教師として仕事を行い、たくさんの文章を書いた。46歳の時、旧松江藩士の娘、セツさんと結婚する。アイルランド人から日本人、小泉八雲になったのだ。松江にきて6年弱、1896年(明治29年)2月10日のことだった。

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